代表取締役社長 片谷 勉 氏
所在地 |
兵庫県尼崎市下坂部3-6-1 |
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TEL |
06-4960-4300 |
FAX |
06-4960-4301 |
担当者 |
営業主任 古田 暁祥 |
事業内容 |
薄板ばね・皿ばね・ウェーブワッシャー(波座金)・薄板加工品の試作、金型製作、量産加工(マルチフォーミング加工、精密プレス加工) |
株式会社特発三協製作所は、兵庫県尼崎市に位置する薄板ばねのメーカーであり、同社の物作りに関する熱心な取り組み、そしてグループウェアを積極的に使った管理やインターネットを使った受注実績に関して、社長の片谷勉氏にお話を伺った。
同社の創業は1955年。当初は金型生産設備及び、自動プレスの充実、連続式熱処理炉の新設等を行い薄板ばねの一貫生産体制をめざし体制を固めた、その後、マルチフォーミング200型関西第一号機を導入するなどして、量産に向けての生産体制を着実に作り上げていった。
同社はマルチフォーミングに技術を特化させている。マルチフォーミングとはテープ材を自動送りして複数の金型とダイを用いて、抜き加工と曲げ加工を繰り返すことにより、複雑な3次元形状の曲げ加工や、高精度な丸曲げ加工を、高速で行うことが出来き、周囲360度からの加工が可能なため、材料のロスを抑えて、安定した精度の製品を、連続生産が可能な加工方法である。
薄板ばねに代表される薄板精密加工品は、電池の接点や、キーボード・携帯電話のヒンジ、自動車部品など、様々な製品に組み込まれ、適度なテンションを掛けて、変形によるエネルギーで製品を固定・反発させることで、ゆるみやニゲを防止する役割を果たしている。
もともと同社は地元ばねメーカーの下請けとして創業したが、当初から金型を手がけており、金型製作から最終工程の量産にいたるまので幅広いノウハウを蓄積してきた。
同社の強みは、社内で図面の作成から金型を設計・製作するため、試作・設計・金型製作・量産という薄板ばねに特化したものづくりを上工程から下工程まで一貫してカバーしているため、顧客のニーズに柔軟に対応できるところである。
また品質管理体制の強化のため2002年12月には、ISO9001:2000を認証取得して、さらなる顧客満足度の向上に向けて全社をあげて邁進している。
このような社内体制のため、顧客のニーズに柔軟にかつスピーディーな対応ができ、金型の微調整なども自社で行うため、柔軟なモノ作りが可能となり、顧客のニーズを十分に満足させることができる。
実際に、薄板ばねの金型は外注すれば1ヶ月近くかかるが、自社でおこなえば2~3週間で済む上、携帯電話のカメラ部分に使用される極小の薄板ばねなどでは、金型に1000分の1ミリ単位での調整が必要となるために自社で金型の技術を獲得蓄積することが製造する上でのコア技術となるという。
このように、長年、薄板ばねに特化したモノ作りを行ってきた結果として2004年には、TMO尼崎が主催し、大学教授や商店主らが審査を行い尼崎の名品を選ぶ、「第2回メイドインアマガサキコンペ」に応募して「尼崎の技術の高さを示す工業製品」としてみごとグランプリを受賞した。
片谷社長はインターネットの可能性に関して「安価なコストでPRできるツール」としてその可能性を気が付いていた。そして本格的にホームページを立ち上げたのは2000年からである。自社のホームページは片谷社長が自らWEBマスターとして制作して会社のPRのために活用している。
ホームページ立ち上げ当初は、それほどの引き合いは無かったが、2003年からは本格的にアクセス対策として「薄板ばね」「皿ばね」「ウェーブワッシャー」などといったキーワードをホームページに埋め込んだり、同時に複数の検索エンジンに同時に登録を行うツールなどを活用して、SEO(サーチエンジンにより検索されやすい工夫)対策を行ったことにより、次第に引き合いが増えてきたという。
SEO対策と同時に、ホームページを単なる会社案内に終わらせず、携帯電話のレンズ部分に提供するウェーブワッシャーをホームページ上に公開することにより、新規の営業先を開拓するなどインターネットを活用した新たな営業手法の開発に積極的に取り組んでいる。この結果これまで取引のなかった家電メーカーなど7社と商談が成立したという。
また、同社ではISO取得を契機にITを活用した品質管理の向上を目指して新たな取り組みを行っている。その一つにグループウェアを活用した品質管理体制の向上がある。
具体的には、スケジュール管理をおこなうためのグループウェア「サイボウズ」の中の掲示板機能を活用して、設計部門・営業部門・品質管理部門に品質関連の情報を共有させることにより、顧客からのクレームや品質管理からの不具合の発見などを設計部門にすばやくフィードバックすることができるようになった。
これまでは、製品の品質改善に関してはメーリングリストを活用していたが、それだと情報が分散してしまい、後から検索するのが面倒だった。
しかし、グループウェアの掲示板を利用することによって、問題発生から解決まで、誰がどのような処理をおこなったのかというプロセスが見れるようになり、社内の品質向上に大きな効果を発揮しているという。
このように本業である薄板ばねのノウハウを蓄積しつつ、インターネットとITを社長自らのリーダーシップで活用することで、いずれ「薄板ばねのことなら特発三協に頼めば何とかしてくれる」という評判の会社となってゆくであろうことを強く実感した。
株式会社エヌシーネットワーク/三木