代表取締役社長 高橋 十三夫 氏
所在地 |
新潟県新発田市佐々木2928-1 |
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TEL |
0254-27-4707 |
FAX |
0254-27-3593 |
担当者 |
営業部長 小嶋 勉 |
事業内容 |
ローリング鍛造。主に建設機械部品の製造、熱処理、旋削加工 |
タンレイ工業株式会社は、新潟県新発田市に位置する老舗の鍛造メーカーであり、自社開発のローリング鍛造という製造法を武器として、主にベアリングや新幹線モーター部品などの製造で業績を上げている。
同社の技術開発や研究に関する熱心な取り組み、そして管理面におけるIT活用法について、社長の高橋十三夫氏にお話を伺った。
同社の創業は大正6年。当時は磯部鍛工所という商号でフリー鍛造を中心として事業を展開していたが、試行錯誤を繰り返し、型打鍛造を経て、自社開発のローリング鍛造に特化する現在のスタイルを確立していった。
ローリング鍛造とは1,150度に加熱した金属を回転しているロールに押し当てリング状に延ばしていく製造法である。材料に無駄がないためコスト面で非常にメリットがあり、量産に都合がよい。また、生産工程がスピーディーであるため、短い納期での量産が可能なのだ。
昨年6月に磯部工業からタンレイ工業に商号変更した際、ローリング鍛造に加えて熱処理、旋盤加工のシステムを導入し一貫したラインを受け持つようになったことで、短納期と製品精度の安定という両立を可能にしている。
商号変更を期に心機一転を図った同社では、年間売上18億円を目指して社員一丸となってモノづくりに挑んでいる。
もともと金型、冶具設計の経験があり、プログラムの知識を持つ高橋社長はかなり前からパソコンに馴染みがあり、会社経営に対するITの活用性を強く感じていた。
「生産性が高く、信頼のある製造会社にするには、できるだけ多くの情報を持ち、それを効率的に運用しなければなりません」と高橋社長。基本的な情報の蓄積、収集はシステムに任せ、スタッフは表示されるデータを判断し、そのデータをもとに思索し判断することに時間を割くべきであるという。
実際、多品種少量で注文を請負い、1ヶ月に1,000品種もの製品を扱っている同社では、製造に必要な製品寸法、材質、重量、金型寸法など多くの情報はデータ化され、正確に管理されている。そうすることで、顧客から問い合わせがきた際には丁寧かつ迅速な対応を取ることができるのである。
また、各部門(事務所、切断、鍛造、熱処理、旋削)からの生産状況をデータとして入力し、社内無線LANでその情報を共有しているため、誰でも各工程情報を瞬時に得ることができる。それらを随時把握することで的確な判断ができ、自然と生産の流れがよくなり効率が上がっていった。
同社では、納期遅れでトラブルが起きたことはまずないと自負する。
「これらのシステムの基本は、問い合わせがきたときの迅速な対応、納期通りに製品を納めることなど、常に顧客の満足度を高めることにある」と高橋社長は語る。
同社では、まず「お客様に喜ばれる会社になるためにはどうしたらよいか」という考えを根底に持ち、すべての開発はそこから始まっているのである。
同業者が大勢いる製造業界のなかで、優良企業として躍進している秘訣とは何なのかを高橋社長にお聞きすると「一過性、時流の考えでなく、愚直に当たり前のことが当たり前にできる体質にしていくこと」とおっしゃった。さらに「そうした体制の上で、常に社員の能力を引き上げ、新しい開発を行っていける環境を作ることが必要」と高橋社長は分析する。
同社のローリング鍛造や徹底した生産管理システムが、まさにこういった考え方の賜物であろう。これらの強力な武器があれば、売上18億円の実現も夢ではないはずだ。
株式会社エヌシーネットワーク/榊直子