各部門は会社方針に基づき目標値達成の改善活動を展開しているわけですが、日々の生産に追われ、改善活動は計画通りに進まないことが多いように思われます。特に製造部門での、Q、C、Dの確保では、先ず納期通り(D)に、良い物(Q)を納入するということが当然のことながら最優先され、『改善活動(C)が後回しになっている』状況を見受けることがしばしばあります。
何故改善活動が後回しになるのか、それは改善が遅れても直ちに困ることがないからではないでしょうか。こんなことでは厳しい経済環境に対応出来る製造体質造りは無理なことで、競合他社に遅れを取ることになります。
改善活動を活性化するにはどうしたら良いのか。
どこの会社でも年度替りには、会社方針が出され、改善目標値が示されるますが、例えば【売上高=30億円 経常利益=1.5億円】と示されたとき、前年並みの原価ベースでは、利益の確保が出来ない場合が殆どだと思います。
そこで、この不足分、1億円を各部門に振り分けることになるわけですが、
(例) 資材部門 … 購入部品、外注費 ▲3000万円
製造部門 … 直接労務費他 ▲5000万円
その他部門… ▲2000万円
注)この対策額は各部門とも目標値に対し必ず30%の積み上げをすること。
(100%の達成が難しいため)
会社方針の目標値に基づき、各部門は『重点方針書』(P表)を作成し、さらに具体的改善活動を『活動計画書』(D表)により展開することが生産革新活動を実りあるものにする不可欠の条件です。
ともすると遅れ勝ちな改善活動の進捗管理は、『トップ診断会』により月次管理することが非常に重要です。
会社方針の改善目標が活動計画書に全て反映され、全社的な改善活動として、会社TOPが絶えずこの活動に関心を持つことが、生産革新活動成功の鍵と思います。
以下の帳票が、GIF形式でダウンロードできます。ご活用ください。
『活動計画書』による改善活動の結果は『活動経過・結果報告書』(C表)によりTOP診断時、報告する。
注)方針管理の展開に当たっては部門内、部門間のキャッチボールを充分行い、お互いのコンセンサスを得ることが大切です。
生産革新活動を実効ある活動とするために『生産革新活動 推進体制』を決め、全社的な活動とする。
推進体制(例)
生産革新活動の目的は、言うまでもなく利益確保のために製造原価を低減することです。製造原価は私達の『やり方』によって低減できるものが大部分です。従って原価低減を達成するために、『生産の仕組み』そのものを改善して徹底的な『ムダ』排除を展開しなければなりません。
この『ムダ』を排除するための具体的な実践活動が『物の流し方』と『物の作り方=作業のやり方』の改善です。
客先の要求の多様化により、多品種少量、短納期生産を余儀なくされており、これを見込み生産による在庫で逃げると、要らない物が山ほどたまり、生産のリードタイムはますます長くなります。
この悪循環を断ち切り『ムダ』を排除するために考え出されたのが『かんばん』による『後工程引取り方式』で、形だけ採用してもうまく行くものではありません。後工程である組立工程の平準化生産が大前提となります。しかしこの平準化生産に対応するには段取り替えの『シングル段取り』への挑戦が必要となります。
その結果不要な在庫が減少し、欠品も生じさせずに早い流れで最終工程に向かって部品が流れるラインが誕生し、変化に対応出来る製造体質が出来あがることになります。
『かんばん方式』、『段替改善』については、後日取り上げます。
私達の職場の仕事の中には『儲かる仕事=付加価値を高める作業』と『儲からない仕事=付加価値を生まないムダな作業』が一緒に混在しています。
そこで『儲かる仕事』と『儲からない仕事』をはっきり区別して、儲からない仕事を徹底的に排除しなければなりません。
この仕事のやり方が『標準作業』で、儲かる仕事だけをうまく組み合わせて、いつも定められた条件で『繰り返し作業』が出来るようにして、異常な状態が直ぐ発見できて、改善出来るようにします。
『標準作業』については、後日取り上げます。