6.加工、組立ラインの生産革新活動の展開 生産革新活動の展開
6-2.生産革新活動の展開
6-2-1.事前準備
1)『生産革新活動 メンバー表』の作成(各ラインごと)
会社全体の推進体制と改善対象ライン(テーマ)が決まったら、対象ラインごとの活動に入ります。事務局と改善対象ライン責任者で、活動メンバー、活動期間、会合頻度などを決め、『生産革新活動 メンバー表』(F-02)にまとめる。
- №、ライン名、部品名は『生産革新活動 年度計画表』(F-01)による。
- 活動メンバーは会社の規模等により決めるが、生産革新推進事務局のメンバーと当該部署の課長、係長、スタッフで構成し、少数精鋭とする。
- 事務局は専任とする。
- 活動メンバーの会合は週1回以上行い、短期間で成果が出るようにする。
- 会合では各メンバーからの活動経過報告や活動を進める上での問題点を話合い、各人が次回会合までにやるべきことを決め、議事録にまとめる。
議事録には何を、誰が、何時までにやるかを記録し、それが完了したことの確認まで、しつこく行うこと。
- 会合時間は短時間で済ませ、現場改善を主体とする。
『生産革新活動 メンバー表』(F-02)は、GIF形式でダウンロードできますので、ご活用ください。
2)『生産革新活動 スケジュール表』の作成 (各ラインごと)
活動メンバー全員で、当該ラインの具体的な実行計画を立て活動に入る。計画は『生産革新活動 スケジュール表』(F-03)の活動項目に予定を記入する。
上表の「活動項目」の細部については『生産革新活動 スケジュール表』(F-03)をダウンロードし、これに記載してある活動項目で、今回の活動で検討する項目について、完了予定を入れ、本格的な活動に入る。
活動項目は自社に合うように変更して下さい。
「6.フォローアップ」ではTOP診断の予定を必ず入れ、進捗状況を会社トップの方に見てもらい、予定通り改善活動が進むようにして下さい。
『生産革新活動 スケジュール表』(F-03)は、GIF形式でダウンロードできますので、ご活用ください。
3)『生産革新活動 計画書』の作成(各ラインごと)
改善活動の効果を明確に把握するため、改善対象ラインの改善前の状況や改善後の姿が判るように、『生産革新活動 計画書』(F-04)を活動のキックオフ前に作成する。
(1) 「現状把握」欄の記入
- 生産状況欄には直近の生産実績で、品番、実績数を生産数の多い順に記入する。
- 稼働時間も直近の実績を記入する。
- 現状レイアウト、人員配置図、物流図は別紙添付でもよいが、機械、人、物の可視化のために必要。
- 工程別能力表は『5-2-2.工程別能力表の作成』により作成し、ネック工程を確認しておく。
- 工数原単位(マン)とは、部品(製品)1個を造るのに要する人の作業時間で或る期間内の平均値として求める。
例えば、或るラインで2人の作業者が、定時間(480分)で1ヶ月(21日)に10,000個の部品を造ったら、工数原単位は
注)人の総負荷時間 = 総稼働時間 - 管理不能時間
- 工数原単位(マシン)とは、部品(製品)1個を造るのに要する機械の作業時間で或る期間内の平均値として求める。
機械主体のラインの管理に使う。
注)工数原単位(マシン)は、現場改善の必要性から私が定義したものです。
機械の負荷時間には無人運転時間も含めます。
例えば、或るラインで定時間(480分)と無人運転(60分)で、1ヶ月(21日)に10,000個の部品を造ったら、工数原単位は
- 総基準時間、ライン総合効率、基準サイクルタイム、ライン設備総合効率は今の段階では空欄とします。
後で説明しますので、そのとき記入して下さい。
- 問題点は当面の問題点を記入し、現状把握後に見直しする。
(2) 「目標値」欄の記入
- 革新の狙いは今回の活動の狙いを2~3項目挙げる。
- 新タクトタイムは新たに設定した稼働時間と少し先の生産を見越した数量で算出する。
- 革新目標の工数原単位は工数▲30%以上とする。
- 少人化目標等を記入する。
『生産革新活動 計画書』(F-04)は、GIF形式でダウンロードできますので、ご活用ください。
4)キックオフ大会の実施
現場での改善活動に入る前に、会社トップの方々や関連部署の役職者、改善対象ラインのオペレーター出席のもとに、キックオフ大会を開催し、改善活動の趣旨、必要性を説明し、活動への理解と協力をお願いする。時間は短時間で終わらせる。
5)5Sの見直し
生産革新活動を展開するに当たって、先ず最初にやって頂きたいことは、全員参加による5S活動です。生産現場の人や機械の動作のムダを、徹底的に排除する改善・改革の活動を展開するにも、現場に不要物が有ったり、ゴミや切粉が床面に散乱していては改善どころではありません。また事務所についても机の中や上、周辺が書類の山であったり、乱雑な状態では現場に対してムダ取りを始めるとは言えません。
まだ5S展開が不充分であれば、是非全社的な5S活動を現場と事務所で同時に展開して下さい。5Sの展開についての書籍は多数市販されているので、ここではポイントだけ述べて置きます。
- 「整理」では要る物と要らない物との判断基準を明確にします。
・毎日使うもの … 使用場所近くに置く
・1週間に一度以上使うもの … ラインサイドに置く
・月に一度程度使うもの … 同一フロアー内に置く
・使うか使わないか判らないもの
… 仮置き倉庫に置き、一年経っても使わなかったら処分する
・使う見込みの無いもの … 直ぐ処分する
- 「整頓」では置場、置き方を決め、置場の表示を行い、必要なものが誰にも直ぐ取り出せるようにする。
- 「清掃」では床面や機械の汚れを無くしますが、清掃で見つけた不具合個所は必ず直します。また床面への油漏れなどの発生源対策も行って下さい。
- 「清掃」「清潔」についても見なおしてください。
5Sは改善活動のベースです。大切なことは5Sにより作業がやり易くなり、ムダが無くなり生産性が向上したかです。単なるきれいきれい運動にならないようにして下さい。例えば、ボードにスパナなどの工具類をきれいに並べてあるのを書物で見かけますが、使い易さという点ではどうかと思います。
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