柳原 : |
以前、ここに同席されている東京大学大学院の木村先生と「教育」というテーマの一環として「3次元設計が企業の中で定着しつつある中、企業はどういう人材を大学に求めているか?」ということを企業側の立場でお話させて頂いたと思います。 私がCADとの関係を持ち始めたきっかけを話しますと、元々はデザイナーだったので、自分のデザインしたものが製品になるまで形をしっかり伝えたいというのがありました。 20年前にサーフェージモデラーを社内で開発していましたので、NC工作機械を買い、自分で加工を始めました。それから世の中に存在するCADシステムでは機能不足であるため、曲面機能を強化したソリッドモデラーを開発したのがきっかけです。 今は設計プロセス開発室というところにいるんですけれども、3次元データは単なる形状定義するものではなくて、モノづくりのプロセスをドラスティックに変えることができるのです。デザインから設計、それから生産技術、生産、品質問題など、あらゆる面から見てCADデータを活用できます。それを含めてプロセスを開発する命題をいただいておりますので、いかにグローバル市場での同業他社より、効率的によい商品ができるかに勝負をかけるわけですね。 DPRに参加させて頂いたきっかけは、先ほど言われたように、やはりベンダーさんの話って面白くないし、結局本音で語り合えない。ここにいる方々はその道のパイオニア的な人が多く、本音の中で意見を戦わせながら聞ける非常に楽しい会議なので、皆さん、DPRの会議にぜひ参加してください。 |
---|
木村 : |
DPRの話で面白いものは、やはりよい意味で、影の話が多いですよね。 CAD/CAMの話ですと、ベンダーやユーザのしかるべき方々のこうなっているはずだというお話を聞いて感心しても、実際の現場はできていないところが多いですね。現場でどこまで本当にモノづくりに有効に活用できているか、というところがデジタルプロセスで非常に大切なところだと思います。 ここに出ていらっしゃる方々は現場をご存知の方が多いので、いろいろな側面からのお話がうかがえる。そういうところがデジタルプロセス研究会の非常に大切なところだと思います。内側から実情を理解していないとちがうかたちでデジタルエンジニアリングを捕らえてしまうこともあるので、DPRでの情報交換は有効なのではないかなという気はします。 私もそろそろCAD/CAMについては、化石になりかけているので、DPRでのお話しをうかがいながら、新しいことをやらないと、と始めてはいるんですけれども。昔のことを思い出してみると、私自身は直接に現場にはいなかったので、1978年くらいに東京大学の佐田先生のご紹介で、名古屋のIBMにCADAMを見に行ったことがありました。航空機の構造図がきれいに図面で出てくるので、いわゆるプロダクトのモデルが本当に全部できているのかと思い、当時ソリッドモデルを細々と開発していた目から見て、大変驚きました。実はもちろんモデルなどはなかったのですが。 また、その後、現場でお話をお聞きすると、きれいな面が張ってあると思っていたのがワイヤフレームだったり、全自動のNCデータ生成と思っていたのが人手集約作業だったりして、驚きの連続でした。 現在でも、レベルの違いはありますが、似たような話はありそうです。ITツールを使おうという姿勢ではなく、ユーザーが主体となって、日本の現場の優れたプロセスを可視化し、革新しよう、ということが大事ですね。そのような情報交換の場として、DPRはお役に立てるのではないでしょうか。 |
---|---|
岩壁 : |
デジタルプロセスを進めると、非常に素晴らしい部分もたくさんあるようですが、まだまだいろいろな問題も抱えていて、影の部分を少しでもよくしていかなければならないようですね。 |
Page4へ続く
株式会社
日本デザインエンジニアリング
代表取締役 |
東京大学
大学院工学系研究科
精密機械工学専攻
教授 工学博士 |
デジタルプロセス研究会
専務理事 |
有限会社
アイ・シー・アイデザイン研究所
代表取締役 |
株式会社
アルモニコス
代表取締役 |
シャープ
株式会社
生産技術開発推進本部
設計システム開発センター
設計プロセス開発室
室長 |
スズキ
株式会社
デジタルエンジニアリング部
第四グループ
専任職 |
ソニーグローバルソリューションズ
株式会社
設計技術ソリューション部門
部門長 |
日本アイ・ビー・エム
株式会社
理事 |
日本アイビーエム インダストリアル ソリューション
株式会社
社長室 顧問 |
株式会社
ファソテック
第1事業部
中部担当部長 |