CAD/CAM座談会・第5弾~自動車メーカー編~

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CAD/CAMは製造業にとって、もはや欠かせないツールとなった。
しかし、利益を左右するまでに重要度を増したCAD/CAMの利用技術は個人のスキルに委ねるところが大きく、技術者の育成は急進する大きな課題である。
CAD/CAMの利点もしくは問題点といった光と影の二つの面について、自動車メーカーの方々にお話を伺った。

まず、PDQについて簡単ご説明いただけますか。

多賀 :

PDQとはProduct Data Qualityの略で、CAD間でデータを交換する際のトラブルを解決するためのデータ品質改善活動を総称して、PDQと呼んでいます。
データの品質が悪いと形状が化けたり再現しなくなるため、後工程側の人が作り直したり、間違った形状に変更してしまったりするという問題が出てきてしまいます。形状だけでなく、色やレイヤーも一定の約束事を保っていないと正確に再現されません。JAMAではそれらの問題をあわせて、受取ったデータを手直しなく使えるようになるよう取り組んでおります。

岩壁 :

色やレイヤーを渡すというのは意外に難しく、未だにトラブルが多発しているのが現状のようですね。

和田 :

弊社では、グローバル的に守らなくてはならないデータ作成ルールにまず注目し活動を開始しました。形状に関しても後工程へのデータ保障として重要であり、今後、まだまだ検討していかなければならないと感じています。また、CADはバージョンアップなどさまざまな変化があり、データ互換性の問題が常にあります。PDQ活動は後世に残していかなければならないデータの保障ということにも繋がると思います。

岩壁 :

一般的にPDQというと、違うCADでのデータのやり取りというイメージがありますけれども、バージョンアップによるPDQ問題もあるということですね。

自動車メーカーさんと取引先さんとの間では、どのようなPDQの取り決めがあるのでしょうか?

和田 :

弊社の場合、まず社内でのPDQ展開があり、それをベースに取引先さんにもPDQのチェックをお願いしました。どういう内容をチェックするのかを開示し、同じツールを使っていただけるのであればプロファイルを提供したり、データの良し悪しを点数表のようなかたちで見せられるような支援をしています。

多賀 :

現在、JAMAの14社中8社が、何らかのかたちで取引先に取り決めを開示してPDQ活動に取り組んでいます。ただ、流通する全体のデータ量からすると、まだ3分の1程度の取り組みですね。

和田 :

JAMAの活動としては、実務に生かして効果を上げていくというフェーズに移っていきますので、各OEMさんを含めJAPIAさんにもお願いしなければなりません。

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座談会参加者一覧( 敬称略 )

コーディネーター

株式会社
日本デザインエンジニアリング

株式会社日本デザインエンジニアリング 代表取締役 岩壁 清行

代表取締役
岩壁 清行

ホンダエンジニアリング
株式会社

事業企画室
企画推進ブロック
企画グループ

ホンダエンジニアリング 株式会社 事業企画室 企画推進ブロック 企画グループ G/L 多賀和春

G/L
多賀 和春

三菱自動車工業
株式会社

管理本部
開発・製造IT部

三菱自動車工業 株式会社 管理本部 開発・製造IT部 エキスパート 和田賢二

エキスパート
和田 賢二

スタンレー電気
株式会社

コーポレートマネジメントセンター
インテグレーテッド・システム・ソリューション部
技術システム推進課

スタンレー 電気株式会社 コーポレートマネジメントセンター インテグレーテッド・システム・ソリューション部 技術システム推進課 課責長 小形充生

課責長
小形 充生

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