CAD/CAMは製造業にとって、もはや欠かせないツールとなった。
しかし、利益を左右するまでに重要度を増したCAD/CAMの利用技術は個人のスキルに委ねるところが大きく、技術者の育成は急進する大きな課題である。
CAD/CAMの利点もしくは問題点といった光と影の二つの面について、デジタルプロセス研究会の方々にお話を伺った。
秋山 : |
製造業とIT業界は近いところにあって協力し合っている関係にあります。ただ、ITだけの団体や、製造業あるいは大学の団体はあっても、畑違いの分野の方々が集まる会合があまりないということに数年前気づきました。デジタルを使ったモノづくりプロセスのさまざまな情報を通い合わせる場所をつくったらきっと役に立つのではないかと始めたのが6年前です。 有志の方が集まってCADやCATなど分野別のフォーラムを開催していましたが、需要がひじょうに強かったため、きちんとした形で継続していこうと考えました。そのためには各分野のトップの方、キーパーソンの方が中心に集まり、理事会構成で運営をした方がやりやすく中身も充実するのではないかと思いました。 そこで数年前から、本日ここにお集まりいただいた方々に理事をお願いするとともに、そのような多士済々の方をまとめるため、東京大学の木村先生、理化学研究所の牧野内先生、スズキの津田社長など神様のような方に会長をお願いし、委員会の運営を始めました。おそらくこれだけの幅の広さでフォーラムや会を企画する団体はあまりないと思います。 |
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吉田 : |
アルモニコスが単独で開催していた年4回から理事会主導で年2回のフォーラム開催に変更し、内容の充実をはかりました。 まず最初に、デジタルルネッサンスと名づけて4回シリーズでテーマを展開しました。①経営②シミュレーション③教育④総括と、従来のテクノロジー主導から少し離れ、経営者から見たらどういうふうに見えるかとか、教育をテーマに2年間まわしました。3次元CADが一段と普及してきたので、使い方が一皮剥けなければ企業競争力に貢献できない。しかも使い方を不断に向上させていくことを目指して、現在デジタルスパイラルでシリーズ展開中です。 基調講演、その後に理事の方、講師の方とのパネルディスカッションをやっていただいています。40分ほどの基調講演では、なかなか真意が伝えられないので、パネルディスカッションの本音トークが、この会に参加する人の一番のメリットなんじゃないのかと思います。 終了後には、缶ビールパーティーと称して講師や会員間の交流会を開催しています。相談事をお持ちの方には、適任の企業の方や理事、講師の方をご紹介しております。 |
青木 : |
おそらく、この理事の皆さんの中でコテコテの営業は私だけだと思います。 10年くらい前に、CADの販売をやっていましたのでメーカーにこだわらず3次元CADすべてを集めて展示会をやろうと考え、浜松で「3次元の1日」というのをやりました。その時に北海道から九州まで200人くらい来ていただいて、「これだけ集まるならなにかやろうよ」となったのが研究会をつくる始まりだったようにも思います。 このデジタルプロセス研究会に参加しながら、CADを売るということからプロセスを売るだとか、サービスを売るだとか、そういうものにどんどんシフトしていくことを勉強させていただきました。最近はCADのサービスより自分を売っているような気もしますが。 この浜松という地は特に産業が集中しているので、「ここにいろいろな技術や能力を持った人が集まると、なにか世の中の役に立つ大きなことができる!」という思いでやっています。 |
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飯田 : |
3年ほど前の研究会で上流工程でのデータ活用が、価値・品質・コスト・納期などモノ作りプロセスにおいて、どのような効果があるか、問題はなにか、フロントローディングが話題となりました。 そのデータの一元化が議論されているときに、当時はまだそんなに上手くはいかなかったんですけれども、3次元CADで実践しているデザイナーとして話をさせていただいたことがあります。 デザイナーのイメージしたものがまちがいなく最終までモノづくりされて、商品化されるということが基本なのですが、初期のモノづくりデータが、設計、金型に渡ることで、形状データが変質してしまうことをデザイナーの立場から問題提起をさせていただきました。 |
竹内 : |
最近のフォーラムではCAEがどのような状況になってきているのか、製造業のモノづくりでどのようなことができるのか、歴史は長いのに現場で普及しないのはなぜか、なにがブレイクスルーかということをトピックスに、大学の先生や現場の方々にパネルディスカッョンをしていただきました。 私はIBMで、CAD/CAMからはじまりデジタルエンジニアリングのプロセスをビジネスのテーマとして26年間やっています。 コンピューターは昔は高価で、それをどう有効に使ってモノづくりに活かすかというのが技術サイドのテーマでしたけれども、今はずいぶん安くなりました。それを使ってどのようにモノづくりの現場に浸透できる使いやすい道具や環境を作っていくか、という最新の情報をディスカッションできたのではないかと思います。 |
Page2へ続く
株式会社
日本デザインエンジニアリング
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代表取締役 |
東京大学
大学院工学系研究科
精密機械工学専攻
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教授 工学博士 |
デジタルプロセス研究会
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専務理事 |
有限会社
アイ・シー・アイデザイン研究所
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代表取締役 |
株式会社
アルモニコス
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代表取締役 |
シャープ
株式会社
生産技術開発推進本部
設計システム開発センター
設計プロセス開発室
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室長 |
スズキ
株式会社
デジタルエンジニアリング部
第四グループ
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専任職 |
ソニーグローバルソリューションズ
株式会社
設計技術ソリューション部門
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部門長 |
日本アイ・ビー・エム
株式会社
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理事 |
日本アイビーエム インダストリアル ソリューション
株式会社
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社長室 顧問 |
株式会社
ファソテック
第1事業部
|
中部担当部長 |