SPの骨格

SP(セールスプロモーション)の戦略を立てていくにあたって、まずその基本となる  SPの骨格  を理解することからはじめたいと思います。

それは、以下に示されるものです。

SPの骨格

上記の5段階が  物を売っていくために必要なプロセス  を示しています。

言い換えれば、「物が継続的に売れている会社( いわゆる 儲かっている会社 )」というのは上記の5つの流れが出来ている会社だと言えます。

それぞれのプロセスを詳しく説明していきます。

ターゲット―誰が相手なのか

会社として売り込みたい商品(それが製品である場合もあれば、設計会社のような技術である場合もありますし、特許やソフトなどである場合もあります)について、その"ターゲット"となる  お客様とは誰なのか 、ということを明確化させるプロセスです。

この 『明確化させる』 ということが、実はきわめて重要であるにもかかわらず、多くの中小製造業においてはできていないのです。(詳しくは後述します)

ニーズ―相手は何を求めているのか

営業(セールス)とは、「顧客の"ニーズ"に対して商品のメリットを提供して、満足していただく行為」でありますから、ニーズが見えないと商品のどの特徴を伝えればいいか分かりません。

ところが残念ながら多くの中小製造業では、お客様のニーズを絞り込めないままで、商品PRを行っています。

こうしたことは、「お客様に商品の良し悪しを評価していただいている行為」に過ぎず、セールスではありません。

こうしたことがなぜ起こってしまうのか?

それは多くの場合、「商品ありきで勝手に お客様のニーズを決めつけている 」 ことがその理由です。

では、ニーズはどうすれば明確化できるのか? その答えは以下の通りです。

『ターゲットを明確化すれば、そのニーズはおのずと明確になる』です。(後述します)

期待―相手は私たちに何を期待しているのか

ターゲットとそのニーズが明確になった段階で、次に考えるプロセスは、 そうした  相手は  「私たちの製品、あるいは私たちに  何を"期待"しているのか 」を明確化することにあります。

この期待を十分に理解することで、競争相手との勝負を優位に進めることが出来ます。

逆に、これを理解できないと競合に負ける可能性があります。
なぜなら、 "期待知らず" 、あるいは "期待に背く" という行為は、何よりも相手に 失望感 を与えるからです。

期待を明確に知れば、たとえ自社の製品がそれを満足させることができなくても、何をすればその期待に応えられるかが見えてきます。

それがまた、 『商品開発』 という観点で生きてくるわけです。

キャッチ―どのように、キャッチするのか

お客様の期待が分かったら、あとはそれを  「自社の商品にひきつける行為」 として、 "キャッチ"というプロセスに移ります。
最も手間いらずのキャッチは、 "営業マンの商談トーク" です。

ところが、本当に全く手間と考えもなく"単にお客様に商品の機能・説明だけをしている" 営業マンのいかに多いことでしょうか。

営業マンのトークは、 「お客様の 期待 への対応」  が主体であるべきです。
もちろん、キャッチにはその他いろいろな手段があります。

営業マンが持参する「パンフレット」や「製品サンプル」などの営業ツールもそうですし、例えばお客様の期待が「もっとCAD技術について詳しく教えて欲しい」ということであれば技術勉強会などの主催もその一つです。

あるいは、「製品の要点だけを早く、確実に知りたい」ということであれば、ホームページ上に仕掛けを作ることも一つでしょう。

実際、従来のSP(セールスプロモーション)の解釈は、このキャッチに関する手段を作成していくことに主題がありました。

しかしながら、多くのSPが  広告コストの浪費  に終わってしまったことには、上記までに述べた一連のプロセスを踏まえないSPが多すぎたからに過ぎません。

それは "お客様の期待知らずの営業マン" と同じだからです。
本当のSPは、最小のコストで最大の利益をもたらす のです。

クローズ―どのように決定させるのか

キャッチをして、それで相手の期待を受けとめていながら、商談として不成立に終わってしまった…。もったいないことですが、よくあることです。

"クローズ"とは、お客様に  「決定させること」  を意味しています。

すなわち、最終的な局面では、 注文をもらう  ことです。

期待に応えて適切な説明と説得ができているにもかかわらず、お客様に決定いただくことができなかったのは、クローズの段階でのミス がその主たる原因です。

もちろん、担当の方に決裁権がない場合には、少なくとも 上司に稟議として提出していただくことを約束してもらうこと がクローズになりますし、初回のアポイントなどでまだ具体的な話しに及ばない場合などでも、『見積出しの許可をもらう』、 『自社の工場見学の了解を得る』などは、 受注に至る前の重要な工程であり、その約束を得ることは立派なクローズの成立と言えます。

「お客様に何らかの約束をとりつける」

ことを指してクローズと呼ぶ場合もあります。
(クローズについても、詳しくは後述します)

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