石油化学大手のインドラマ・ヴェンチャーズ(IVL)がこのたび、欧州最先端のプラスチック・リサイクル技術を披露した。リサイクル素材となるrPET、rHDPEの生産工場はナコンパトム県にあり、昨年は16億5000万個のペットボトルのリサイクルに成功した。
これはタイの原油輸入において53万1269バレルの削減効果、二酸化炭素換算では1億1800万キロの削減効果がある。
ペットボトルのリサイクルへの大きな可能性を開いた同社の事業は、「資源の有効利用による生産の循環」という国連の持続的開発のゴールにも合致する。
同社のリチャード・ジョーンズ上級副社長は次のように語る。
「現在、当社の工場はオランダ、フランス、アメリカ、メキシコなど世界11ヵ所に展開しています。タイもその一環にあり、2014年にスタートしたナコンパトムの工場は、タイで最初に欧州の生産技術を導入した工場となりました」
同社はタイにおいて、ペットボトルを完璧にリサイクル素材に還元することに成功。ペットボトルをゴミとして無駄に捨てないという道を開いたことにより、パッケージ生産の供給源が増え、バリューチェーンを通じての利益にもつながり、プラスチックは価値ある物として他のゴミから選別される存在となった。
ナコンパトム県の工場では、プラスチックボトル、ポリエステル繊維に付いたプラスチック粒などをリサイクルする事業(rPET)をしている。ポリエステル繊維は年産12万トン、プラスチック粒は年産2.9万トンあり、衣服、テキスタイル産業をはじめ各方面の顧客ニーズを満たしている。同工場のアニウェート・ティワーリー工場長は次のように語る。
「搬入されるペットボトルは1日に100トン以上が品質検査を経て、生産工程に載せられます。品質検査では異質なボトルはすべてはねられ、精密に等級化がなされ、等級ごとに摂氏185~300℃で溶融されます。当工場でリサイクルされたプラスチックは最高品質が守られており、国際標準のパッケージ素材として定評があります」
環境面にも配慮しており、ペットボトル以外の各種プラスチックの投入についても、HDPEボトル、PPラベルをはじめ研究が進んでいる。PVCラベルについては政府の指針に従い回収会社を利用しており、現在、回収されたラベルの処理方法の研究も進めている。また同工場は、廃水処理後のリサイクル水資源を実用化しており、工場で使う水の80%をリサイクル水でまかなっている。
IVLは、2025年には年間75万個のペットボトルを処理する目標を立てた。これは、取締役会がペットボトルからのリサイクル素材(rPET)の使用を増やす方針を打ち出したことによる。食品向け、飲料向けパッケージ素材として使用するプラスチック素材の25%をrPETでまかなう方針だ。
▶︎ NCネットワークグループ FACTORY NETWORK ASIA (THAILAND) CO.,LTD. 発行
『FNA 月刊 U-MACHINE』より