ドイツのBMWグループのタイ法人、BMWグループ（タイランド）は、同グループ初となる自社向けの高電圧バッテリー生産工場を建設した。ドイツの自動車部品大手ドラクスルマイヤーとの合弁事業による、アセアンで唯一の高電圧バッテリー生産工場だ。チョンブリ県のWHA工業団地2に位置し、バッテリーモジュールの組立、バッテリー本体の組立が7月から始まった。
高電圧バッテリーは、ハイブリッド車およびEV（電気自動車）にとって重要な駆動力となる。部品構成は複雑で、特化した専門知識を要する。
BMWマニュファクチャリング・タイランドのウーヴェ・クアス専務は次のように語る。
「BMWグループの基本的な展望は、EVによって満たされる未来社会というものです。高電圧バッテリーの生産において、当社はコストの安い魅力的なバッテリーを作る自信があり、タイで伸び続けるEV市場の大きなニーズをつかむでしょう。またラヨーン県のBMW工場のサポート体制も強化され、アセアン地域の旗艦生産基地の効率化が一層進みます。
今回、ミュンヘンのBMWグループの専門家が新工場においてバッテリー生産技術の土台を築いたのは、タイのBMW工場の生産工程の標準を、BMWの世界標準と一致させるためです。将来の開発に向けた出発点となる工場であり、基礎を堅固にしなければなりません」
同社ではこのほか、ドイツ南部にあるBMWのディンゴルフィング工場において、高電圧バッテリーの生産に関わる従業員の人材研修を進める。同工場はEVのパイロット生産工場であり、この研修によりバッテリー生産の最新かつ最高レベルの技術が従業員に与えられる。
「バッテリー製造は、すでに第4世代の技術レベルに進化しています。レーザーによる連結、プラズマ表面処理された部材、着脱関連のロボット科学、エレクトロニクス使用の自動光学検査（AOI）、電気システムによるワーク検査、工程最後の最終検査などハイテクとの連結が重なります」
自動生産工程に関する人材研修プログラムは、総合的な品質検査、工程設計、生産技術、品質改善、工程分析など全体的な技術の理解と応用力を高めるものであり、バッテリーモジュール生産に必須の重要プログラムとなる。
研修課程を終え、バッテリー生産の基本レベルの技量を身につけた研修生は、アジアから輸入されたバッテリーセル部品を扱う仕事につく。アルミ枠、エレクトロニクス電線回路システムなど、多様な部品を扱って実地に経験を積むためだ。
「レベルの高いバッテリーの組立には、BMWグループの標準での理解と応用が必要です。特にタイ国内メーカーの部品を使用する際の規定を習得してもらいます」
高電圧バッテリー本体の組立が終わると、製品はラヨーン県のEV工場に送られ、BMWシリーズ5モデルのハイブリッド車に組み付けられる。タイBMWグループは、2019年7月に第1フェーズとしてアマタシティー工業団地（ラヨーン県）で工場をスタートさせたが、実際には2017年からプラグイン・ハイブリッド車（PHV）を生産している。330e、530e、X5xDrive40e、740Leの4モデルだ。
「先に述べたような協力関係を通じて、事業パートナーとしてのドラクスルマイヤーの重要性はますます強まっています。実際、両者のパートナー関係はすでに53年の歴史があります。当社は組立メーカーで、あちらは部品メーカーという確固たる関係です。世界的に定評のある部品メーカーであり、組立メーカーのBMWにとってはなくてはならない最新のソリューションに長じた事業パートナーです。EV、エレクトロニクス・システム、車体設計、バッテリーシステムなどにおいても実に頼りになります」
タイBMWグループは、BOIの投資奨励プロジェクトの認可を受けている。7億バーツを投資するプラグイン・ハイブリッド車の生産プロジェクトであり、その投資の一部をドラクスルマイヤーとの合弁事業にまわす。
「タイの高電圧バッテリー工場に5億バーツを投資します。今回の成功は、タイの自動車産業の進歩へのささやかな貢献となるでしょう。タイを舞台とする官民協力が、今後のEVの発展の道を開くのです」
▶︎ ＮＣネットワークグループ FACTORY NETWORK ASIA (THAILAND) CO.,LTD. 発行
『FNA 月刊 U-MACHINE』より
