グローバル・バグス・アジア社は、タイ投資委員会(BOI)の認可を受けたタイとスウェーデンの合弁企業である。食品やサプリ向けの素材の研究開発を主軸にしており、コオロギ素材のたんぱく質粉の開発が最大の強みだ。
同社のカニサナン・タンティティワット社長は次のように語る。
「これまで5年間、パイロットファーム(実験農場)を運営してきました。オープンシステム方式でやってきましたが、国際標準レベルに達するのが困難なため、クローズシステムの一貫生産体制に切り替えました。
コオロギの育成過程から最終製品のたんぱく質粉への加工まで、自社工場で一貫して行っています。それが奏功して、焙煎工程を通して輸出可能な国際標準レベルをクリアできました。現在、各種食品に混入するたんぱく質成分として、パスタや菓子のほか、サプリメントの主成分などに使われており、特に欧州での普及が広がっています」
同社の工場で、800個の籠でコオロギを育成しており、コオロギ素材のたんぱく質粉は年産10~12トン。これを2021年には年産350トンまで増大させるため、現在、専用ファームを拡大し、32,000㎡の工場をプラチュアップキリカン県に建設している。高さ5メートルの育成施設を9メートルまで広げ、ファームの育成過程に新技術を導入してリスク軽減が進める。さらに、加工工程の機械化を進めてコストを軽減するなど、将来の需要増を見据えて増産体制を構築している。
「2023年には北欧の市場の拡大が予想され、特にフィンランド、デンマークが焦点になります。おそらく20%は成長するでしょう。アジアは確かに大市場ではありますが、動きが遅い印象です。
世界には大きな需要があります。しかし、当社がそれらを網羅しようと焦ることはありません。タイには2万ヵ所を超えるコオロギ育成ファームがあり、世界の需要に応えることは難しくないでしょう。ただ、たんぱく質粉の製品はまだタイでは販売しておらず、農家の収入増のお手伝いになっているという段階です。そのため今後もタイで確実に研究開発を行い、輸出をメインに事業を拡大していくのが基本方針です。食品部門をはじめ当社の製品を求める工場は増え続けており、見通しは明るいです」
▶︎ NCネットワークグループ FACTORY NETWORK ASIA (THAILAND) CO.,LTD. 発行
『FNA 月刊 U-MACHINE』より