特集:「自社商品 開発」
自社商品は、ものづくりの経営者であれば誰もが夢見ることの一つである。
しかし、販売も含めて、成功している事例は数少ないのも事実である。系列 ── 「ケイレツ」の中で仕事をしながら、自社商品開発やそれら商品を販売していくという仕事はなかなか難しいという事実も見えてくる。
今回、さまざまな自社商品を手掛けたいくつかの企業を紹介するが、なかでもリーマンショック時に開始した、あるいはコロナ禍で仕事量が減ったために自社商品開発を始めた、という事例がある。
失われた30年 ── 1990年~2020年の間に日本製造業が経験したことは、「ケイレツ」依存から脱出せねば独立した法人とは言えない、ということである。「下請け」という言葉に象徴されるよう、日本の町工場の多くはいまだに「ケイレツ」依存から脱出することが出来ずにいる、と言っても過言でないであろう。
また、技術があり、商品化のアイデアがあっても、それを商流に乗せ、自社ブランドを育てていくには、それぞれの努力やときに幸運が必要だ。
インターネットが普及したことによって、多くの町工場はそれまでの系列外の企業に営業をし、顧客数を増加させる活動を積極的に行っていった。直接足を運ぶ営業はもちろん大切だが、同時に、これまでは届かなかった層にも情報を届けることができるインターネットを駆使して情報を発信し、新たなお客様と出会うWEB営業に力を入れている企業も多い。
また、展示会の開催数も増え、単独で国内外にて出展する町工場も増加してきた。一時はコロナ禍で開催を中止・延期した展示会も多かったが、最近では再び開催されることが増え、なかにはオンライン展示会開催により距離が離れた企業との商談もおこなわれている。町工場が新しいことに挑戦するインフラは整ってきた。
またクラウドファンディングが出現したことにより、初期のコスト面でお客様に支えて頂くこともある。近年ではクラウドファンディングの実施も随分と身近になった。
本号ではあらためて、自社製品を開発し、売上、利益に繋げている企業5社を紹介する。
・株式会社XEN GROUP
フードロス、SDGs ── モノづくりは世界を豊かにする
・株式会社プラモール精工
全ての成形加工メーカーの悩みの種、ガス抜きの問題を一気に解決する“ガストース”
・株式会社山本金属製作所
加工時の物理現象を可視化、次世代に技術を繋げる
・株式会社エステーリンク
自社での加工を改善したいという思いが「バリ取り加工」の常識を変えた
・株式会社ワールド山内
“本物”には価値がある!技術と経験に裏付けられた本物のものづくりで世界へはばたく