第5回 マグネシウム合金「10の特性」

マグネシウムは、軽いだけの金属ではありません。
他の金属にないさまざまな優れた性質を有しています。

1.実用金属中で最軽量 何といっても最大の特性は軽さです。
比重 1.8 です。これはアルミニウムの2/3、チタンの1/3、鉄の1/4にあたります。
2.薄肉でも高強度 マグネシウム合金は、強度/比重で示される「比強度」が最高です。
要求強度に対し、部品の薄肉化、軽量化が出来ます。
自動車部品、家電製品、コンピュータ部品などによく使われてきました。
最近では、これらの特性以外に放熱性や電磁シールド性が注目され、薄型ノートパソコン筐体等で盛んに使われています。
3.良好な放熱性 純マグネシウムの熱伝導性は 150W/mk と優良です。
機器内部の熱を効率的に発散します。
4.安定した電磁シールド性 マグネシウム合金は、30~200MHzの帯域で 90~100dBの安定したシールド効果を発揮します。
きびしくなる携帯電話機、パソコンやPDPからの電磁波遮断などにマグネシウム合金は最適です。
シールドコート処理など必要ありません。
5.リサイクル性が高い マグネシウムの再生に要するエネルギーは新材製造時の 5%程度です。
アルミニウムの同 3%とともに地球環境にやさしい素材です。
6.比熱が小さく、寸法安定性が良好 比熱が小さく、加熱され易く冷め易い性質が有ります。
即ち、温度変化や時間経過による寸法変化はほとんどありません。
そのため、寸法安定性にも優れ、 150度Cx100Hr  の加熱でも変化量は 6x10-6 と小さい特徴があります。
7.振動吸収に優れ、騒音減衰 振動を吸収するので製品のロングライフ化、騒音の低減に寄与。
材料が、耐久限度以下の応力サイクル(振動)を受けた時に、そのエネルギーを熱として吸収または消散させる能力を減衰能といいます。
振動を嫌うハードディスク、MD,CD、チェーンソーボディなどに最適な材料です。
自動車のホィールやステアリングなどにも使用されています。
8.耐くぼみ性が高い 変形に対する抵抗力が強いので、衝撃でもへこみ難いです。
マグネシウム合金の加工硬化率が高いためです。
携帯電話やデジタルカメラなど携帯する小型製品に向いています。
9.機械加工、切削加工が容易 切削抵抗が小さく、機械加工時間の短縮、加工費の節約、工具寿命を延ばします。
10.豊富な埋蔵資源 マグネシウムは地球上に存在するなかで8番目に豊富な元素です。
地殻組成にも海水にも豊富に含まれています。
いわば無尽蔵な埋蔵資源と言えます。
詳しくは、本稿第一回目のマグネシウム資源の欄をご参照下さい。

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