西松建設株式会社
「こんなに爽やかなビールがあるの?」
ラオスに行くと、多くの人が「ビアラオ」の飲みやすさに驚きます。「ビアラオ」とは、ラオスの国産ビール。ラオスコーヒー同様、「もらったらうれしいお土産」としてラオスを代表する国産商品です。そんな誰をも虜にするビールを生み出すラオスとは、いったいどんな国なのでしょうか。
ラオスは、中国、タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマーに囲まれた内陸国。約24万平方キロメートル(本州の面積とほぼ同じ)の国土に、約700万人(埼玉県は730万人)が住んでいます。国土の7割は山岳地帯で、山岳民族含め50もの民族が暮らしています。
隣国タイとの国境沿いにはメコン川が流れ、その豊富な水資源を活用した水力発電が盛んです。それが他のアセアン諸国とは違ったラオスの強み。カンボジアやミャンマーでは頻発する停電が、ラオスではほとんどないのです。ラオスに進出する製造業がそれを魅力のひとつに感じているのは、間違いありません。
産業は、サービス業(GDPの約42%)、農業(同約17%)、工業(同約29%)ですが(2016年ラオス統計局)、人口の約7割が農業に従事しています。主な農産物は米やさとうきび。現地で日本人男性が生産するラム酒は、世界コンクールで賞を獲得するほどの品質で、新たなMade in Laos のお土産として注目されています。
ラオスの首都ビエンチャンは人口約90万人。町のシンボルは、黄金に輝く寺院「タート・ルアン」です。昼間も美しいですが、夜、くっきり見える月と並んでライトアップされる様子は幻想的で、一見の価値ありです。
やや北にある古都ルアンパバンは、ニューヨーク・タイムズなどで「行きたい都市」に選ばれた町。町全体が世界遺産となっていて、早朝の托鉢を目当てに世界中から観光客が訪れます。
この2つの町に比べて認知度は高くないのですが、欧米人を中心に人気上昇中なのが、ビエンチャンから南に669キロのところにある、南部の中心都市パクセーです。
左:世界遺産のワット・プー、右:パクセー市内の様子
パクセーには、日本企業専用の工業団地、パクセー・ジャパン経済特区(PJSEZ)があります。日本の技術や文化をラオスに取り入れたいという地元企業や政府の願いを受け、西松建設が出資に参画し、現在12社が入居中です。業種はさまざまですが、同じ日系企業ということで、「情報交換しやすい」と入居企業は口を揃えます。
そのうちの1社、京都に本社がある和装小物メーカーは、「絞り」や「つまみ」といった日本独自の技術をラオスに伝えています。「素朴さを出すには機械化は馴染まない。手でつくらないと難しい」と、ラオス人の器用さに着目。じつは中国にも3工場あるものの、人件費の高騰に頭を抱え、4番目の海外拠点にラオスを選びました。従業員は女性がほとんど。「ラオスの女性は手先が器用で根気があり、本当に助かっています」と日本人の担当者は満足そうです。
ワイヤーハーネス加工の工場でも、複雑なケーブルを手で組み立てたり、視力の良さを活かして目視をしたりと、多くの女性が働いています。その他化粧筆メーカー、武道具メーカーなども中国から進出してきています。
PJSEZそばには、機械や電気、金属、縫製など19学科を擁するチャンパサック職業訓練学校があり、卒業生を優先的にPJSEZに紹介してくれます。口コミでも十分集まるので、労働力には困りません。人口が少ないからと敬遠されがちですが、実は若者が多く労働力には事欠きません。ただ、ラオスでは家族を大切にするので、冠婚葬祭の休暇などの配慮は必要です。
内陸国ゆえ、物流がウィークポイントとの指摘もありますが、逆に言えば5カ国と接しているため陸路で行き来できます。また、道路インフラは日に日に整備が進んでいます。パクセーからタイまでは車で約1時間、カンボジアへは2時間ほど。今後、ベトナムの港町、ダナンまでを結ぶ国道16号線の整備と新しい国際国境の開設も期待されています。
周辺国に比べ、知名度の低いラオス。それゆえ進出企業もまだ少ないですが、だからこそ今、進出する意味は大きいでしょう。他社に先駆けて拠点を設け、パイオニアとなれば、10年後、20年後にラオスで存在感を放つに違いありません。
▶︎ パクセー・ジャパン経済特区 公式ホームページ(日本語)