株式会社日昌製作所

日昌製作所は、自動車のティア1を主要顧客にもつ。ここ数年は電 子・電動化やEV関連の部品をメインに供給しており、ベトナム工場に は日本の仕事の一部を任せている。

同社がベトナムのハナム省ドンバン2工業団地に工場を設立したの は、2013年。翌2014年、敷地面積12,000平方メートル、建屋面積4,875 平方メートルの工場が竣工、2016年にはISO9001とIS014001を取得し た。工場は、ハノイ市中心部やノイバイ空港、ハイフォン港からも近く、 日本への輸出のみならず、中国やタイ、そのほかのASEAN全域を見渡 せる立地にある。

ベトナム工場には、インサート成型用の縦型成形機が８台、横型成 形機が1台、三次元測定機等の品質保証用の設備もある。海外に進出 した各社が困るのは、気候が日本と違うので、同じように作っても日本 と同じ精度が出せない点にあるが、同社は現地で信頼できる金型の 協力会社を見つけることができたため、金型のメンテナンスや補修、 製造、生産管理を日本品質で行うことが可能となった。こうした課題 を１つひとつ丁寧に乗り越えてきた結果、顧客の信頼を勝ち取ること ができ、現在同社は設立前に描いていた5年目での目標売上額の1.5倍 を達成している。

また、2020年までには新規案件の量産体制を整える予定もあり、現在、日本で許容量を超えてしまっている量産品をベトナムにも振り分 けていきたいとしている。

また、同社でも福利厚生には苦労した経験を持つ。さまざまな出身 地から人が集まっているために、会社で画一的に昼食を準備しても、 味付けが合わないという理由で他に移ってしまうこともあった。その ため同社では、昼食代を給料に上乗せし、食堂には自由に使える炊飯 器や冷蔵庫、電子レンジを完備した。社員やその家族と一緒に旅行や バーベキューといったイベントも行い、アットホームなベトナムの人たち の気質に合う工場運営を工夫している。