第2話 花丘製作所の人々

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「きょうは、どう言って土門さんを誘ったんですか?」

「このあいだ会社で会ったとき、わたしといっしょにいたコとお茶でも飲まないって」

「そしたら、彼、なにか言ってました?」

「“う”って」

「“う”ですか?」

「“あ”だったかな。なにしろ、無口なのよ土門君」

そこに、

「お待たせー」

という声とともにジーンズの短い脚が2人のまえに立った。

顔を上げた明希子は、

「!」

一瞬唖然としてしまった。

「菊本君!」

「おっと、おぼえててくれたんスねえ、アッコさん。感激っス」

隣で理恵が泣き出しそうな顔になった。

「土門君は?」

「いやね、センパイひとりで粗相があっちゃあいけねえと思いましてね。なにしろ愛想がねえんだから土門センパイは――。ほら、センパイ、なにそんなとこでもじもじしてるんスか。こっちにきてくださいよ」

菊本が呼ぶと、大きな影がゆらりと現れた。

土門はちょこんと頭を下げると、大きなからだを縮こめるようにして座った。

途端に理恵の眼がハート型になる。

「しかしよかったなー、こうやって2人して残業もしないでアッコさんたちのお相手ができるのも、工場が暇だからだもんな」

菊本が言った。

「暇なの工場?」

明希子はすかさずきく。

「もう、暇で暇で。なんたって、五軸のマシニングを2台も入れたってーのに、ぜんぜん仕事がこないんスからね」

明希子の頭の上を暗い影がゆっくりと通り過ぎた。

EMIDAS magazine Vol.12 2006 掲載

※ この作品はフィクションであり、登場する人物、機関、団体等は、実在のものとは関係ありません

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