特集:プラスチック成形

芝浦機械株式会社

芝浦機械株式会社

油圧から電動へ――時代の変遷とともに進化

芝浦機械株式会社におけるプラスチック成形機事業の歩みは、第二次世界大戦の終戦後、高度経済成長期の到来とともに始まった。1952年に電線被膜用押出成形機の初号機を開発、続く1956年には射出成形機の初号機「20-450S」を開発した。射出成形機は当時、国産としては最大であった。以降、時代の変化や顧客のニーズに寄り添いながら技術を進化させ、ラインアップ拡充。現在、型締力50トンから3000トンと幅広い全電動式射出成形機を有する。

1990年代から、国内では射出成形機が油圧制御から電気制御に置き換わる流れが出てきた。1998年に芝浦機械として初めて全電動式射出成形機「EC」シリーズを市場投入した。

「EC」シリーズの上市以来、20年にわたり全電動式射出成形機を開発してきた芝浦機械であるが、近年の開発トレンドは「射出成形品の大型化への対応」。低燃費・低環境負荷を狙う自動車のバンパーやグリル、バックドアといった、部品の更なる軽量化を狙うことを受けてのニーズである。芝浦機械は2006年に型締力3000トンの超大型電動式射出成形機「ED3000W」をリリースしている。

射出成形機における環境配慮

芝浦機械では「Life Cycle Assessment(LCA)」に基づいた商品開発を実施している。原材料調達、生産、物流、販売、使用、廃棄といった製品ライフサイクル全体において、さまざまなステークホルダーとともに温室効果ガス削減や脱炭素に向けた取り組みを行っている。同社では樹脂成形品リサイクルにも取り組んでいる。樹脂ペレットを生産する押出成形機と、製品を成形する射出成形機を連携運用させることで、生産現場で完結できる樹脂材料リサイクルの仕組みを提案している。

射出成形機の技術としては、電動化による省エネや不良率削減の他、高可塑化スクリュー採用や金型交換時間の短縮による生産性の向上、再生材とバージン材を組みあわせて成形する「サンドイッチ2材成形技術」などに取り組む。同社が取り組む、射出成形機のIoT化でも、生産性向上や省エネに寄与する。

また自動車の軽量化のニーズに応えるべく、超薄肉成形技術や微細発泡、CFRPやGFRPといった複合材料によるハイブリッド成形といった成形技術開発にも鋭意取り組んでいる。

リチウムイオン電池とインドに期待

芝浦機械の押出成形機は、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の需要が好調であり、「今後もまだまだ伸びます。EVに限らず、ソーラー発電の需要がある住設など含み、分野を問わず、リチウムイオン電池や蓄電池の需要の伸びはこれからも期待できます」と芝浦機械株式会社専務執行役員 成形機カンパニー長の小池純氏は述べる。

射出成形機については「地道に伸びてくる」と小池氏。自動車を中心とした製造業に勢いがあるインドでの需要拡大も期待しているという。「今のインド市場は、日本の製造業にとってビジネスチャンスがたくさんあると思います」

IPF では顧客との情報交換を

芝浦機械はIPF Japan 2023に出展し、環境配慮対応とIoTをアピールする。まだ詳細は明かせないとのことだが、射出成形機の新製品を披露する。「IPFの会場ではお客さまと直接お会いして情報交換させていただき、それを活かしてお客さまが『もうかるモノづくり』をしていただける機械やサービス開発に今後も邁進します」と小池氏は、IPF出展や今後への思いについて語った。

芝浦機械株式会社

住所

〒100-8503
東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル

TEL

03-3509-0200

FAX

03-3509-0333

URL

https://www.shibaura-machine.co.jp/

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