特集:プラスチック成形

日精樹脂工業株式会社

日精樹脂工業株式会社

成形現場に寄り添うからこそできる提案

日精樹脂工業株式会社の強みは、成形機だけではない。成形加工メーカーからスタートした同社は、現在は射出成形品の外販を行っていないにも関わらず社員の8割が射出成形技能士の資格を持つほど、成形加工現場へ寄り添うことを重視している。「機械の提案、成形システム、工場レイアウト、材料、金型、そして各種試験まで総合的にお手伝いできるところが会社としての強み」と代表取締役社長の依田穂積氏は語る。

成形機も多彩なラインアップを取り揃えている。日本では主流となっている電気式だけではなく、油圧でサーボモータを駆動させ、直圧型締機構を採用した「ハイブリッド式」があり、「お客様の成形品目によって適切な機械を提案しています」と依田氏。このように成形現場に寄り添い、ニーズをくみ取るという姿勢は、1971年に同社が開発した「静かな射出成形機」からもうかがい知ることができる。高度経済成長期、自宅を改装して成形加工業に従事する人達が増えたが、全国的に騒音問題が注目され始めていた。射出成形機を24時間稼働させるためには騒音対策が必須だったが、そこに着手したのが同社だ。ほかにもサーボドライブの電気式成形機や二色射出成形機、高速充填射出成形機など、時代をリードした成形機を多く開発している。「成形加工業は製造業の基礎。経済を支えているという自信を持って頑張ってほしい。日精樹脂は専業メーカーとしてサポートしていきます」。

バイオプラスチック向け成形システム

2010年には業界に先駆けて植物由来樹脂向け成形システムN-PLAjetを開発している。技術士の小松道男氏(小松技術士事務所所長/ものづくり名人)や株式会社豊栄工業と共同開発したこのシステムは、現在日本だけでなく世界からも引き合いが増えている。バイオプラスチックは流動性が悪いだけでなく、抜けにくく成形難度が高い。同社の成形システムでは成形性の改善のために安易に石油由来成分を混ぜ込むのではなく、カーボンオフセットの観点から「100%植物由来」にこだわる。環境配慮には先進国だけでなく、リサイクルシステムが確立していない第三世界の各国でも取り入れられる方法を提案することも重要なのだ。

日本だけでなく世界へ

同社は中国とタイ、アメリカ、イタリアにも製造拠点を構えている。特に2019年に子会社化したイタリアのネグリ・ボッシ社は、これまで拠点のなかった欧州、中東、南米にセールス拠点を持ち、グローバル市場におけるプレゼンスの向上に貢献した。欧州マーケットは油圧式が強いが、「わが社の電気式の技術は、自動車や医療関係にまだ食い込める余地がある。戦略としてゲームチェンジするのは面白い」と依田氏は自信を見せる。

先進国だけではない。InclusiveGrowth(※)の考え方のもと、新興国や開発途上国へ日本の省エネで精度が高く、安心安全な機械を広げていくことを進めており、すでにインドの工場へのてこ入れが始まっている。「すぐにもうかるものではないが、専業メーカーとして今一番の使命かなと思います。成形機にいいイメージを持ってもらいたい」。日本だけでなく、世界へ。プラスチックでより良い社会の実現を目指す。

日精樹脂工業株式会社

住所

〒389-0693
長野県埴科郡坂城町南条2110

TEL

0268-82-3000

FAX

0268-81-1400

URL

https://www.nisseijushi.co.jp/

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