特集:鋳造・ダイカスト
株式会社トミナガは、高知県にある銑鉄鋳造メーカーである。島田誠社長は3代目として、先人が積み上げてきた鋳造技術を受け継いでいる。創業当時、職人気質な初代はドラム缶で鉄を溶かしていたという。時代が変わり、キュポラから現在の電気炉溶解と移り変わった。そののちに機械加工工場を隣接させ、一貫生産できる体制をつくってきた。島田社長が入社した当時はバブル崩壊、そして阪神淡路大震災で取引先が被災したことにより、経営は厳しい状況であった。また、いざなみ景気により一時的に海外からの調達を主とする企業が増え鋳物屋も減少。それらの危機も、需要を読むことで成長し、乗り切ってきた。
2013年に取締役社長に就任後、島田社長は経営理念と事業戦略をつくった。従来の下請け事業からの脱却を目指し、経営計画の策定に取り組んだのだ。そして「品質第一」と掲げた言葉のもと、更なる設備環境の強化を図っていく。材料試験室を設け不具合品の原因の特定・対策がとれるようになったことにより、鋳物の精度が左右される材料の検査を社内で行い信頼を得る体制を整えた。2016年導入の3Dスキャナは赤外線を製品に当てて寸法を測り、プログラムとの誤差を測定し、保証された製品を生み出している。機械加工にも力を入れ、マシニング加工の最大サイズは3700×2000×600、旋盤加工の最大径はφ2000と、大物の加工も可能である。2022年にはモデル加工部を立ち上げ、型を製作するノウハウも持ち合わせる体制をつくった。鋳造にとって型は何より大事だ。型屋が減少する中で一貫生産強化のため一部自社でも対応できるようにした。
さらにトミナガには、国内唯一の鋳造マイスター・鋳造テヒニカの両資格者である梅原利一氏が専務を務めている。4年半ドイツで学び、鋳造技術の基盤を支えながら人員育成にも尽力し次世代につなげている。現場では梅原専務が中心となり技術と共に製品精度を見える化し、トミナガの強みを伸ばしている。
「製造業は人が大事」と述べる島田社長。男性育休や介護看護の有給休暇など、福利厚生の充実にも力を入れている。結果、島田社長の策定以降、社員数は年々増加している。厳しい世界だが、職人技術の見える化、環境整備や人員育成の成果により、躍進していく。
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