特集:鋳造・ダイカスト
長野県長野市に本社を構える株式会社コヤマは、初代社長である小山三蔵氏が昭和20年に創業し、昭和21年に小山鋳造有限会社を設立した。敗戦後の混乱の中で、当時の軍用機用資材であったアルミやジュラルミンを用いて鋳物の製造を開始。現在は、鋳鉄とアルミ鋳造を中心に、中子を用いた複雑形状品の製造を得意とし、どこの系列にも属していない独立系鋳造メーカーとして知られている。
同社のものづくりの特徴は、開発から試作品製作、鋳造、バリ取り、熱処理、機械加工までの一貫生産を自社内で行っていること。開発工程では、客先と協同し、製品設計段階から参画するなど、顧客ニーズへの柔軟な対応が評価されている。
コロナ禍で落ち込んだ売上高は、大物部品需要の高まりによって、5年ぶりに200億円を超え、過去最高を更新する見込みだ。事業別の内訳は、鋳鉄が5割、アルミが2割、機械加工が2割、省力化機械が1割となっている。また、省力化機械を除いた業種別の内訳は、建設機械・油圧機器部品が5割、自動車部品が4割、産業・農業用機械部品が1割となる。
昭和47年には、社内労働改善のため、バリ取り作業の省力化を目指した機械を開発。改良を繰り返し、『省力化機械バリンダー』として商品化した。世界36か国で3,800台以上販売され、国内外で広く利用されている。
また、近年注目されているカーボンニュートラルへの取り組みにも積極的だ。キュポラを稼働させるために必要なコークスを、『木質ブリケット』に一部代替している。使用する木質ブリケットは、近隣で廃棄される菌床や製材くずを有償で買い取り、自社内で粉砕・乾燥し、専用のブリケットマシンで圧縮加工している。他にも、鋳鉄の主資材となる銑鉄の使用比率を極限まで抑え、戻しくず、切粉、スクラップの使用比率を高めるなど、環境への負荷を軽減する取り組みも行っている。
今後に向けて、6代目社長の百瀬真二郎代表取締役は、「引き続き、最新設備の導入や新しい取り組みを進めてまいります。鋳造は、持続可能性の魅力に溢れた産業です。歴史に縛られず、世の中の需要を捉えながら、新しいチャレンジをしていきたい」と語る。
同社の持続可能性への取り組みと技術開発への熱意は、多くの顧客に支持され、業界内で高い評価を得ている。これからも株式会社コヤマは、社是である「信和 技」「常に信頼され、和やかな職場環境づくりを行い、技術開発にたゆみない努力を続ける」の精神で、地域や競合他社と共に成長・貢献していく。
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