特集:鋳造・ダイカスト
岩機ダイカスト工業株式会社は、宮城県亘理郡に本社を構える総合ダイカストメーカーだ。同社は高品質なアルミニウム、亜鉛、スクイズ鋳造製品、および小型かつ複雑な形状の金属粉末射出成形品(MIM)を生産している。生み出される高精度・高機能なダイカスト製品は、自動車、バイク、事務機器、電気・電子製品などの部品として幅広く利用されている。
新型コロナウイルス感染拡大以前から、鋳造業界は経済状況が厳しいと見込まれていたが、同社の前年度売上は89億円と、過去最高額を達成した。自動車メーカーからの需要により、コロナ禍の影響を大きく受けず好調な状態が続く。
売上の約8割を占めるのは、主力事業であるアルミダイカストである。金型の設計製作から量産設計までを内製で行っており、開発段階では3Dプリンターを使用したプロトタイプを活用し、部門会議や顧客との確認を通じて、ダイカスト製法に適した製品デザインを提案する。また、工場は24時間無人で稼働する生産ラインを完備。さらに、三次元測定機やX線検査、ガス量分析装置などの設備を備えており、材料試験から製品精度の検査までを徹底して行い、品質を保証している。
現代の多品種少量生産形態を支える最大の技術課題は、「高精度で良質な金型をタイムリーに供給し、低コストかつ高効率な生産体制を構築すること」と当社は考える。特に力を入れているのが、ダウンサイジングだ。独自のダイカストシステムで設計された金型は、通常の鋳造圧よりも低い圧力で鋳造することができ、それによりマシンサイズを小さくすることが可能となった。小さな設備での製作が可能になったことで、材料・燃料コストおよび金型製作コストの削減を実現した。実際に、通常は1000tのダイカストマシンを必要とするフィン部品を、650tでの量産に成功。この改良により、工程単価は従来比約20%低下し、金型寿命は1.5倍に延びるなど、低コスト化が実現した。
また、技術管理部長の鈴木氏は、「今後は、鋳造業界においても人手不足が課題となることが予想されるため、主に検査工程の自動化に力を入れたい」という。現状、人による目視検査と画像検査をハイブリッドで検討しているとのことだ。将来を見据え、人手不足への対策も余念がない。岩機ダイカストの高効率生産性とお客様目線でのコスト削減への挑戦は、今後のダイカスト量産製造業の見本となっていくであろう。さらなる岩機ダイカストの発展に期待したい。
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