特集:鋳造・ダイカスト

吉田工業株式会社

吉田工業株式会社

吉田工業株式会社は長野県佐久市にあるアルミ鋳造・精密切削加工メーカーだ。アルミ鋳造は主に長土呂にある佐久平プラントにて行われ、自動二輪・自動四輪の重要保安部品や建設機械の油圧パーツなど、20kg以下の製品を得意とし、多品種少量で難易度の高い鋳造を手掛けている。1965年、ホンダ系ブレーキパーツの切削加工を主力事業に創業、加工していたパーツの素材が鋳造で作られていたところに目をつけて、1970年に鋳造ラインを立ち上げた。吉田工業は鋳造から加工まで一貫して行えるという付加価値に早くから目をつけていたのだ。

吉田工業のアルミ鋳造の特徴は3Dプリンターを用いた砂型積層造形型の製作とシェル中子の活用だ。従来の方法では木型を転写して型を作るという3プロセスが必要だが、3Dプリンターの活用で大幅な工程集約を実現している。さらにシェル中子を用いることで、切削加工では困難な複雑形状の流路を成形することができるため、バルブやピストンなどの中空形状製品に対応できる技術が同社の強みとなっている。また、吉田工業の高い技術力を下支えしているのがTPM活動(Total Productive Maintenance)だ。全員参加の生産保全、作業改善、設備改善を継続的に実施することで、全社員の技術力の底上げと、チームワークの形成につながっている。その結果ちょこ停や、設備の故障、事故の未然防止につながり、生産性、品質の向上に寄与している。

高い技術力のベースにあるのは「社員の幸せ第一」という経営方針だ。吉田寧裕社長が掲げる「挑戦するWell-beingCompany」を、社員一人ひとりが理解し行動してきた。アルミ鋳造と精密切削加工のコア技術という基盤があるからこそ社員の幸せを大切にできる。その結果モチベーションの向上や社員の成長、さらなる生産性の向上へつながるサイクルが回り始めた。また、社員が話し合う場としてYMI(Yoshida-Monozukuri-Innovation)がある。部署ごとに週一回、改善活動の話し合いを行い、横の連携を高め自由に意見が言いやすい環境を作っている。自由に発言ができる風土と、吉田工業の常にチャレンジできる体制は社員のクリエイティブな部分を引き出しスキルアップに寄与している。吉田社長はWell-Beingを土台とし、モノの量産や試作は手段であり目的は社員の幸せだと語る。工程の自動化は通常、効率化や生産性の向上のために行われる。しかし吉田工業では、労働環境の改善や、重労働の軽減のために設備を導入している。社員のための投資をためらわないからこそ270人の社員も吉田社長に惹かれているのだろう。

2035年までに宇宙産業への参入を目指している。さらなる難易度の高いモノづくりもクリエイティブな吉田工業なら乗り越えられるだろう。吉田工業の社員を大切にする取り組みはまさしく働き手第一の理想的な答えである。人の命を守り続けてきた確かな技術と、社員を大切にする企業風土で今後の未来社会に大きく貢献していく。

吉田工業株式会社

住所

〒384-2202
長野県佐久市望月内匠2166 番地1(本社)

TEL

0267-53-2151

FAX

0267-53-5828

URL

http://yoshidanet.com/

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