特集:鋳造・ダイカスト
1935年に創業し、大阪府岸和田市に本社工場を構える日本継手株式会社は、継手を専門に作る鋳造工場である。創業以来、水・ガスをはじめとする各種配管用継手の製造開発に取り組み、産業や暮らしの発展に貢献してきた。継手の品質とクオリティは世界最高水準であり、特にガス配管の継手に関しては危険性が高いため、多品種を品揃えしている主要メーカーは2社と少ない。その内の1社が当社であり、この信頼がブランドであり強みである。
さらに同社の強みの技術には、鋳放し高強度球状黒鉛鋳鉄(H-FCD®)がある。通常、FCD800以上へ強度を上げるには熱処理をするのが一般的であるが、熱処理を施すと歪みの発生や加工性が悪くなるといったデメリットがある。これに対しH-FCD®はある合金を添加する事で一般的には熱処理が必要とされるFCD800~900相当の高強度鋳鉄を熱処理レスで安定量産することが可能だ。このH-FCD®は商標登録されており、一般的な熱処理品と比較し加工コストの抑制、リードタイムの短縮、トータルコストダウンに繋がる。量産実績として、HONDAのNSX向けシフトフォークに採用された。今後はこのH-FCD®を使用した製品で減速機や鉄道、自動車、産業機械部品分野への参入を目指している。そのほか、砂型3Dプリンタの活用により、簡易的な鋳型や中子を製作することで試作の短納期化を実現。セメント系の材料を用いることで熱に強く、0勾配で製作することが可能だ。
今後、自動車のEV化に伴い、使用される部品には強度アップと軽量化の双方が求められると日本継手は想定している。H-FCD®を用いて高強度・高耐摩耗性を兼ね揃えた、軽量かつ静穏性の高い部品を製造しEV車への採用も模索していく。それに伴い、現存の鋳造ラインを時代の変化に合わせてどう活用し変化させていくかが課題となる。現在の主力である継手=マリアブル(可鍛鋳鉄)と一般的なダクタイル(球状黒鉛鋳鉄)に加え、H-FCD®の販売拡大により競合他社との差別化を図る姿勢だ。
「継手は、日本の市場で育った世界に通用する部品です」と社長の木島氏。日本の継手市場は大きく拡大する可能性は低いが、長年培ってきた鋳造技術を活用して、他の業界や海外展開を狙った新たな材質の試作や研究を行っている。従来には無い鋳鉄の試作、研究により後工程の省力化によるコストダウン、軽量化、耐久性向上への対応など様々なチャレンジを進めていく。
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