特集:JIMTOF2022
超精密加工で世界最高峰の工作機械を作る(株)ナガセインテグレックスの長瀬社長は「JIMTOFは新製品を出展するもっとも重要な展示会です」と期待を語る。「4年ぶりの今年はリアルでの開催になるため非常に期待している。独自に開発した最新の設計手法『IGTARPDESIGN(イグタープデザイン)』によるマシンを実際にご覧いただきたい」。
従来の平面切削機械は性能がよくてもサイズが大きく高価で重いことがネックとなっていたが、2018年から開発を進めてきた『IGTARP DESIGN』がついに完成し、加工点剛性を従来機の2~4倍、設置スペースを1/2にしたマシンもある。JIMTOFでお披露目するのは、6軸サブナノマシンNIC74など、IGTARPデザインの手法で新規設計した工作機械5台の予定だ。これらは生産性向上の面で、すでに達成済みの超精密加工品質の非熟練化・自動化・省人化・無人化・加工時間短縮が実現される。このうち非熟練化については、JIMTOF出展の目玉の一つである、加工システムの構築を支援するアプリ『GRINDROID』を開発した。
このアプリは、同社が約40年かけ蓄積してきた加工ノウハウをデータベース化しており、現場経験が浅くとも加工物に合わせた機械や砥石、周辺装置、加工条件等を選定できる。まず素材・ワーク寸法・要求精度を入力すると、研削加工で超精密領域の加工を行うための砥石やマシン等のハードが選定され、研削加工条件やドレッシング条件が推奨される。独自のデータとアルゴリズムにより、計算上約40億通りのうち有効的に活用できる数千通りの組み合わせから推奨加工システムが導き出されるのだ。この際、点数と共に複数の加工候補が示されるため、作業者は自らの判断で選択を変えることが可能だ。熟練工が非熟練者と共に使用することにより、各社の研削ノウハウを効率的に伝承していくこともできる。さらに研削に使用する砥石表面を回転中にダイレクトに撮像・AI解析を行い、加工異常の推測や砥石のドレス(ドレッシング)時期を示唆することができるAI砥面観察システム『砥面予報士GRIDE EYE』も展示する。「長年、砥石を解析したかった!」という長瀬社長の思いが形になった。
そのほか、ワークの自動供給や、砥石の切り込み量やテーブル速度のアップにより加工時間短縮を実現した新機種などもJIMTOFで見ることができる。「製造業は人材の育成と卓越した設備投資の両輪を等速で回していくことが重要です。明確な設備設定を通じて、継続的な技術開発、生産性向上をはかり、自分達を育ててくれた日本のモノづくりのお役に立ちたいのです」。
今でこそ「超精密加工」という言葉は市場に定着し、非常識だと言われ続けてきたナガセインテグレックスの取り組みが認められてきた。信念を貫き、今後も“新たな非常識”を開発してくれることだろう。
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