鯖江＆薄さ22㎜の老眼鏡が
シニア世代のライフスタイルを変える

「使う人のライフスタイルをもっとポジティブなものに変えるため」。そう語る社長の西村氏は、約10 年前にメーカーとしてやっていく夢を描いた。

メガネ業界は通常、レンズとフレームを小売店で合わせるため、フレームをデザインから設計し、約100工程もの加工から1 点ずつ完成させる実力があっても、エンドユーザーに直接届けることはできない。しかし、時代は変わり、インターネットのSNS で直接情報を発信できる環境が整った。

もともとの家業である西村金属は、メガネフレームや医療機器に使われるチタンの加工を得意とする。チタンでキーワード検索すると上位表示されるまでに育てたSEO のノウハウで、ペーパーグラスのサイトも構築。しかし、すぐには広まらない。そこで、2013 年度の「グッドデザイン・ものづくりデザイン賞（中小企業庁長官賞）」を受賞することで、お墨付きとブランド発信の後押しを得た。

ペーパーグラスの発表当初、10,000 円以上の老眼鏡は売れないと言われていた。しかし、ライフスタイルの提案という観点が共感を呼び、毎年130% という成長率をキープしている。これを、老眼鏡であれば細かい視力検査は不 要なので、レンズ込みで直販できること。競合が少ないためデザインという付加価値で訴求できること。そしてメイドイン鯖江という3 つの強みが支えている。

「家業に技術力があったからこそ第二創業が可能でした。技術は付加価値です。でも、ユーザーのライフスタイルがどう変わるかという顧客視点を追いかけることこそ、自分の使命だと思っています。」西村氏の挑戦は続く。

  
サングラスも人気。外出がまたひとつ楽しみに。