特集:JIMTOF 2018
左より:UVM-450C(H)、UVM-450D(H)、UVM-700C(H)、UVM-700E(5AD)
「空気静圧軸受の研究は当社では70年代から既に始まっていました」。東芝機械ナノ加工開発センターの天野部長は続ける。「90年代に入ってからはもう、空気静圧軸受を高速ミーリング機に載せて、5万回転をやっていました。ベアリングの抵抗を受けない空気静圧軸受に将来の可能性を感じていたのです」。加えて、90年代前半からのレンズ金型用超精密加工機の研究により高精度リニアモータ駆動制御技術も開発。高速回転と合わせて送りの高精度化が実現され、この2つの要素が今、UVMシリーズに色濃く受け継がれている。
「4機種のUVMシリーズはどれも、主軸には最高6万回転の自社製空気静圧軸受が搭載されている。直線最小設定単位は0.01μmのリニアモータ制御。これらの技術の組み合わせは、ナノ単位の加工をブレなく行うことを可能とし、加工後の磨きやバリ取り仕上げのレス化、ミニマム化を実現した。
さて、UVMシリーズでは、①主軸変位の計測や②加工機上ワークの計測、③工具の磨耗具合の計測結果をフィードバックする工具寿命判定が可能な工具管理、④NCプログラムが紐付いたワークパレット情報管理など、高精度と自動化を志向したオペレータ支援機能が充実している。これにより、従来課題とされがちである加工後の手作業の自動化についてもクリアされており、製造コスト低減やリードタイム短縮に効果を発揮しやすい。
このように、ナノ加工の能力の高さとオペレータ支援機能の相互効果により、Ra10nmの鏡面加工も仕上げレス化、ミニマム化を伴ってピカピカに実現出来る。それ故に、各種レンズ金型やリフレクタ金型などの加工に絶大な効果を発揮する。そもそも加工の仕上がりが非常に綺麗であるから、実は、最初に大径工具で粗加工をしてうんぬんというよりも最初から小径工具を使って加工した方が、結果的にリードタイムが短縮されるなどの結果も出ている。
工作機械はこれまで数十年の間、人の手に変わり複雑加工や微細加工など、スキルや時間のかかる加工を行い社会貢献をしてきた。今後もそれは変わるべくも無いが、さらに社会貢献を続けて行くには導入のしやすさがポイントだ。「UVMシリーズは構造体恒温化システムの導入により微細加工に付き物の別部屋を作るなどの環境を整える必要がありません。あと、機械本体は特別高いわけじゃないんです。精度が良いから誤解されやすいですけど」と天野部長は笑う。つまり、導入のトータルコストが安いのだ。
ナノ精度の実現と導入のしやすさ。成形品ニーズがますます増えてゆくであろうIoT時代。UVMシリーズは更なる社会貢献に乗り出す。
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