特集:JIMTOF 2018
代表取締役会長兼CEO 稲葉善治氏
2016年に発表されたFIELD systemは、その後着々と多様な企業をパートナーに迎え、今では400社ほどの参加企業を有するまでに成長した。FIELD systemが世界中の製造業の設備の稼働状況の見える化を実現することはさることながら、その先にどのような役割を果たそうとしているのか、成長戦略をファナック代表取締役会長兼CEOの稲葉善治氏(以下、稲葉会長)に聞いた。
「世界人口100億人時代がきます。100億人の人々が豊かな生活を楽しむことの出来る社会を目指します」と語る稲葉会長。そのためにも、単にものをつくって終わりではなく、作ると同時にどのようにリサイクルし環境への負荷を最小限に保ちつつ新しいニーズに応えてゆくか、そして社会の仕組みをどのように支えてゆくかを考えたとき、工作機械やロボットは必ず必要な存在であり続けるとのこと。2016年にリリースされたFIELD systemは、工作機械やロボットの力を最大限引き出すための仕組みである。
ものづくりの生産性を上げ人々の仕事を楽にし生活を豊かにするためにも、FIELD systemは最重要課題である。FIELD systemは、IoTのレイヤーでいうと4thレイヤー以下にあたり、各工場の設備やセンサーから集められる稼働状況をいかに集約し、解析させるかに肝がある。現在エミダス会員企業の中からも設備の稼動監視を行うためのモジュールがいくつも開発・発売されているが、それらはIoTのエッジという領域に位置し、FIELD systemの役割はエッジの領域と、上位の領域であるフォグを接続することである。ファナックではここまでのことをエッジヘビーと定義している。現在は、多くのモジュールが稼動の見える化を行い稼働率向上など一定の効果を実現しているが、「見える化により稼働率が上がると次のステップは稼動の質を上げることになる」と稲葉会長。
「稼動を知らせる緑ランプにもいろんな緑があります。鮮やかな緑、くすんだ緑。それらは一概に同じ緑とはみなせません」ゆっくり稼動していても不良を発生させていても稼動していれば緑であり、サイクルタイムや不良率はわからない。この課題を解決するためにも、AIを使った知能化が不可欠となる。ファナックではこの課題に対応すべく、AIに関する研究を行っている。この度のJIMTOFにおいても、AI搭載の設備を公開するという。
さて、ファナックのFIELD systemはエッジヘビーのプラットフォームである。2019年にはアメリカ、ヨーロッパの展示会においてFIELD systemのお披露目がなされる。「世界がライバルになって戦ってゆく未来ではなく、適材適所で手を組んで進んでゆきたい」との言葉通り、その他のレイヤーの企業との確かな協力が求められる。
FIELD systemがリリースされて2年。次なる展開に期待したい。
所在地 |
〒401-0597 山梨県忍野村 |
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URL |
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創業 |
1972年 |