特集:ロボット・エンジニアリング
代表取締役 髙丸正氏
「家電品を買いたいとき、いろいろなメーカーの製品を比較して選べる量販店に行きませんか」と社長の髙丸氏は語り始めた。
同社の事業計画をわかりやすく言うと、ロボット業界はパソコン業界の後追いをしているので、パソコン業界に起こったことを、ロボット業界に置き換えて実行していくことだ。
ロボットにはそれぞれ得意分野があるうえに、ティーチングをしないと動くようにはならない。つまり、まずは量販店で家電を選ぶように、幅広い候補から目的に合ったロボットを選択することが大切だ。将来的には、おそらくロボット本体のみならず、その上に乗るアプリケーションこそが重要と言われるときが来 るだろう。また、ロボットを使いこなし、普及していくには、扱うことができる人を育て、増やしていくことも必要となる。
こうした考え方から、同社では2007年に兵庫県にロボットテクニカルセンター「RTC兵庫」を開設した。現在、年間550名程度の受講生を受け入れており、国内トップクラスの規模だ。そして、2017年には大田区平和島にもロボットテクニカルセンター「RTC東京」を開設し、年間の受講者を2,000名とする体制を整えた。同社は、30名程度の社員のうち、10名の社員がインストラクターの資格を有し、メーカー各社のロボットを横断的に扱えるプロから学ぶことができて、終了時には「産業用ロボットの教示及び検査の業務に係る特別教育修了証」を取得することができる。
上:プログラムの演習をデモ機で学べる
下:NCネットワーク「若手会」メンバーで
平和島のロボットテクニカルセンターを見学
日本人には、ロボットというと量産というイメージが強いが、髙丸氏は、「少量多品種にこそロボットが向いている」と語る。ロボット黎明期に量産工場に導入され、そこに向けて改良が進んだために、いまは量産が得意に見えているだけで、人を助けて働くというロボット本来の存在意義を考えれば、「辞めない、文句を言わないロボットは、人手不足に悩む中小製造業でこそ、活躍していく未来がある」というのだ。これは、マシニングセンタが市場に登場した頃、量産用のものだといわれて来たが、今は違うのと同じことだという。
人間が休んでいる夜間でも、何時間連続で働いても疲れない、文句をいわないロボットは、中小企業がグローバルな勝負をしていく上で、大きな力となってくれる。確かに初期投資の額は大きいし、導入当初はなかなか使いこなせないが、世代交代や女性などの活用も考えていかなければならない中で、ロボットの操作を教われば、職人と同じ仕事ができるようになる意味は大きい。これは、できる人をロボットに置き換えるのではなく、できない人でもできるようにする一つの方法で、企業利益に直結する投資なのだ。
また、データの蓄積が進み、AIが進歩すれば、プログラムの流用や活用も促進され、ますます少量多品種に対応できるようになるだろう。「現場が基本となる中小製造業にとってのロボット導入は、ロボットだからこそできることは何か、今あることに何が足せるかという発想をしてほしい」と髙丸氏は言う。
こうした取り組みには、ロボットオペレーターの育成が最重要だが、同社では地元の高校生との交流の場を設けるなどして、若い人たちに興味をもってもらう取り組みも積極的に行なっている。
所在地 |
〒662-0925 兵庫県西宮市朝凪町1-50 JFE西宮工場内 |
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TEL |
0798-38-9200 |
URL |
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創業 |
1963年 |
エミダス会員番号 |
64068 |
所在地 |
【RTC兵庫】 〒662-0925 兵庫県西宮市朝凪町1-50(JFE西宮工場髙丸工業㈱内) |
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TEL |
0798-38-9250 |
URL |