特集:リクルート・教育

株式会社大塚製作所

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OJT、資格取得、そして交換日記

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航空部品を加工する5軸マシン

同社が扱うのは単品加工であるため、前例はない。失敗は許されない。効率も追求せねばならない。常に新しいことに対応して行くため、数年前、現場の指示系統をトップダウン方式から、工程ごとに選抜されたリーダーが主体となって考える体制に切り替えた。リーダーには指導力のある人を選び、図面通りに仕上げる加工方法を考え、メンバー各人に伝えてもらう。

同社では、技能士資格の取得を奨励しているが、実技と学科では、学科に力を入れている。理由は、単品加工という難しい技術にチャレンジし続けているので、OJTを通じて技術は十分に伝えられる。しかし、技術を引き継いで行く上で「見て盗め」ではなく、「なぜそうなるのか」を学科の理論を使って伝えることで、教える側と教わる側に共通認識が生まれ、正確さと効率を上げることができるからだ。

同社の取り組みでユニークなのが、入社後1年間は、根岸氏との1対1の手書きの交換日記がある点だ。悩んでいることを書いてもらい、根岸氏も毎日コメントを返す。そうして入社直後、社内にうちとけられる人がいない孤独感を埋める工夫をしている。

また「書は人なり」とも言う。「その人の性格もよくわかるし、社員が何を考えているかも見えてくる」と根岸氏は語る。特に若い世代には、各人に合わせた教え方が必要となるし、OJT役との相性も重要だ。アットホームな繋がりを築きつつ、その人のセンスを見極め、適材適所で育てて行くには、多方面からのコミュニケーションが力を発揮する。

地域活性化が若手育成に繋がる

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削り出しでつくる

交通機関の発達に伴って茨城県は東京の通勤圏内となったため、中小企業が地元で雇用を安定確保していくには、常に困難を伴う。また、書類や面接での選考では、応募者にものづくりのセンスがあるかどうかまではわからない。

中途採用の場合には、前職の経験である程度は予測がつくが、新卒は難しい。応募する側からしても、具体的にはどんな職場なのかイメージしづらい。そこで、相互理解を深めるために、同社では地元の高校生を中心としたインターンシップを活用している。インターンシップ中には、なるべく複数工程に関わり、多くの人と接する仕事をやってもらう。その過程で、会社の雰囲気や仕事内容を理解してもらい、適性がありそうな人には「残らないか」と声をかけ、優秀な人材を確保している。

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入社1年で持ち前の責任感が評価され、
全品検査を任されるようになった

また、インターンシップ受け入れには、もうひとつ重要な理由がある。同社の規模だと「毎年、新卒を採用できるとは限らず、指導力を磨くという意味でブランクができてしまう。社員に、次世代を育てる意識を持ち続けてもらうため」と根岸氏は語る。

また、同社は共同受注体GLIT(グリット)の中心的なメンバーでもある。この団体は、茨城県内企業を中心とし、共同で「医療・介護」「航空・宇宙」「再生可能エネルギー」分野への新規参入を図るべく活動している。地域一丸となって産業を呼び込み、次世代にものづくりのバトンを繋いで行く多角的な活動が進行中だ。新しい挑戦があれば、若い世代も自然と製造業に集まってくる。こうして後継者を育てていくために、企業が連携して研修を行い、企業の枠にとらわれない技術継承を進めている。

株式会社大塚製作所

所在地

〒311-4164 茨城県水戸市谷津町細田1-64

TEL

029-251-4567

URL

http://ohthuka.co.jp

E-mail

info@ohthuka.co.jp

設立

1949年

 

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