特集:宇宙
無限に広がるものづくりの可能性に挑戦する日進工具株式会社が、HAKUTOプロジェクトにサポーティングカンパニーとして参加している。日本のものづくりを支えて来た工具メーカーは、どのように宇宙への夢を描くのだろうか。プロジェクトへの想いを社長の後藤弘治氏に聞いた。
「男の子なら誰でも、小さいころに一度は宇宙にあこがれたことがあるでしょう。いま、まだ夢を持ち続けて挑戦している人がいる。目の前に、誰もやったことがないことをやろうとしている人がいる。手伝いたいと思いました」。穏やかな口調で、しかし力強く、同社の後藤社長はHAKUTOプロジェクトの袴田武史代表に出会ったときのことを振り返る。
プロジェクトへの参画を会社で伝えると、社員もみな喜んだという。同社の「存在理由」を後藤氏は、「今ないものをつくる手伝いをしていくこと」だと語る。HAKUTOはこのコンセプトに合致しているばかりか、自分たちの仕事が未来への挑戦そのものであり、そこに参加しているという実感が得られる最高の舞台でもある。
工具は、B to Bで販売されるものなので、ふだんは市場に出回る完成品のどこで使われたのかがわかりづらい。何を作ってるかがわからないと、心も入りづらい。同社では日ごろから、自分たちの仕事が果たしている社会への貢献や、会社が目指すコンセプトを共有する取り組みを行ってはいるが、HAKUTOプロジェクトからは格別な充実感を得ている。
そして、このように「何に役立ったのか」という点を、社員だけでなく社会全般に向けて発信していくことが、今後、製造業の社長がやっていかなければならないことだという。
日本の製造業はすごい。その製造業を支えてきたお父さんたちもすごい。週末、家で休んでいるお父さんではなくて、平日、一生懸命に働いている姿を、もっと子どもたちに見てもらいたい。「みんなで一緒に夢を語って盛り上がることができるHAKUTOは、本当にいいプロジェクトです。価値ある投資だと思っています」と、後藤氏は目を輝かせる。同社では、今後もHAKUTOのような夢のあるプロジェクトに、積極的に参加していく方針だ。
エンドミル「NHR-2」
それでは、同社の工具は、実際にはどのようにHAKUTOプロジェクトで力を発揮したのだろうか。
HILLTOP株式会社製造部の宮浜司氏は、HAKUTOフライトモデル「SORATO(ソラト)」のホイール加工で、同社のエンドミルを選択した理由を次のように語る。「ウルテムは、加工不可による割れがおこることが難しく、工具の摩耗や、加工の攻め方を少しでも間違えると割れが発生するため、そこでの工夫に時間がかかった。試行錯誤の過程で、他社の工具も検討したが、切削の目と、同じ加工条件で切削したときの音が経験上一番よかったので日進工具の工具に決めた」。ホイール加工では、主にロングネックエンドミル(深リブ用)のNHR-2を使用し、刃径φ4、有効長25のタイプを多用した。
同社の超硬小径エンドミルは、ハイテク関連機器や自動車部品などの金型を生み出す工具としてかかせない。長年Made in Japanの品質を支えてきた日進工具は、いま月という未知の世界への挑戦を支えている。
所在地 |
〒140-0013 東京都品川区南大井1-13-5 新南大井ビル5F |
---|---|
TEL |
03-3763-5621 |
URL |
|
設立 |
1954年 |