特集:宇宙

HILLTOP株式会社

HILLTOP株式会社

2016年、HILLTOP株式会社は、日本発の民間月面探査チーム「HAKUTO」のサポーティングカンパニーになった。このプロジェクトではアルミ、SUS、チタン、マグネシウム部品を対象とした、月面探査ロボット「ローバー」のフライトモデル及び試作品の機械加工部品を提供している。プロジェクトの参画について営業部長の林新太郎氏に話を聞いた。

未開拓の宇宙産業への挑戦

HILLTOP株式会社

京都に本社を置くアルミのエキスパートHILLTOPは、見積から売上までの工程を管理するオリジナルの“HILLTOP system”を開発し、24時間無人稼働で多品種・単品加工を実現した。これまで自動車・ロボット・半導体関連冶具・医療などの分野で切削加工経験はあったものの、宇宙産業とは全く縁がなかった。今回、自社の技術を生かして新たな一歩を踏み出すかたちとなる。

きっかけは、2016年に出展した「設計・製造ソリューション展」だった。月面資源開発の事業化に取り組む民間宇宙企業、株式会社ispaceのスタッフが来場しており、展示物に関する質問を受けたのだ。そこで「HAKUTO」チームについて詳しく話を聞き、林氏は非常に魅力を感じた。それと同時に同社副社長の山本昌作氏も、この企画に飛びつくに違いないと確信した。「プロジェクトのサポーティングカンパニーになってほしい」という依頼を早速京都に持ち帰ったところ、山本副社長も乗り気になった。

民間企業が宇宙産業へ参入することには、まだまだ様々なリスクや不透明さがあると考えられる。しかし林氏は未開拓の市場に踏み込むことで同社の技術力の向上、若手社員への教育、さらには自社利益に繋がると期待している。「何に使われるかよく分からないまま図面通り作る部品と違い、今回は製作に携わった物が宇宙を旅するということで、自ずと若手のモチベーションも上がると思います」と意気込んだ。

では「HAKUTO」へ参入を決定した際の社内の反応はどうだったのだろうか。同社内の試作スペース「Foo’s Lab」を訪れると、取材時には数名の学生が熱心に机に向かい、世に出る可能性を秘めたアイデアの数々を形にしようと奮闘していた。同社が掲げるモットーは、「楽しくなければ仕事じゃない」。チャレンジすることが同社の仕事なのだ。ベテランから若手まで多くの社員が、「HAKUTO」を始め新規プロジェクトに携わっている。

月に到達後も挑戦は続く

 

なぜ同社がHAKUTOサポーティングカンパニーとして参画することになったのか。後から林氏は、製造業の企業として初めて声がかかった理由を次のように分析した。1. 出展物が無人搬送ロボット(AGV)だった点。2. 大手企業と違い、AGVの周囲を切削で作っていた点。3. 自社で設計・部品調達・切削が可能であると前面に押し出していた点。「ロボットでも部品でも、当社が全てにおいてプロジェクトの方向性に一致したのでしょう」と語った。

さらに、月面探査レースをプロジェクトのゴールにしたくない、と林氏は夢を描く。今後、月面での資源調達も見据えて仕事を続けていきたいという。月に60億トン存在すると言われる水の採掘や有人基地の建設に使う、あらゆる機械・部品の試作も視野に入れているのだ。「打ち上げ後に世界中から案件が来た時、ispaceさんの考える委託先1番目に当社が入ればいいな、と思っています」。

HILLTOP株式会社

所在地

〒611-0033 京都府宇治市大久保町成手1-30

TEL

0774-41-2933

URL

http://hilltop21.co.jp

E-mail

hilltop@hilltpo21.co.jp

設立

1980年

 

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