有限会社イナバモデル 代表取締役社長 石光　真

製品の品質と生産現場の効率を支える検査治具

　仕様書に合わせて設計・製作する検査治具は、まさにニッチでトップレベルの技術。現在は国内大手自動車メーカー4社の一次サプライヤー向けのみならず、海外メーカーとも取引がある。
「動いたことで縁ができる」と語る石光氏は、世界の潮流とともに駆け足で進む。バンパー、エアバッグ、ヘッドランプ等複雑な形状の製品を、使いやすく測定できる検査治具。それを製品データ及び仕様書から設計する高い技術を応用し、同社では自動車部品組立装置の製造も行うが、まさにベトナムの多くの部品工場では生産設備を必要としているし、また将来的には四輪車の成型メーカーもベトナムにたくさん出てくるだろう。そうした将来性を見越し、タイ、フィリピン、マレーシアといったASEANをつなぐ立地も見込んで、ホーチミンに設計の現地法人を設立した。

10年後を見据え、人材育成を戦略的に

現地法人は、日本で設計を学んだ研修生の帰国後の受け皿として、日本の仕事を分担するのが第一ステップだが、将来の構想はもっと大きい。いずれ日本と同じような工場をというだけでなく、優秀な若者を集めて設計を学んでもらい、その中から日本で働く意欲のある人材を日本の本社工場に送り込む。人材発掘と研修の場としても育てていく予定だ。
「縁があったからこそ出会って一緒に働くのだから、そこの人たちにも幸せになってほしい」と、石光氏は暖かい笑みを浮かべた。

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