みなさまの会社では、BCPの見直しは進んでいますか。BCP(事業継続計画)とは、ご存じの通り企業が緊急事態(自然災害や、大火災、テロ等)に陥った場合に、そこで被る損害を最小限におさえつつ、中核のビジネスを継続したり、早急に復旧したりする為に、日頃行う活動や、緊急時の行動をまとめたプランの事です。トヨタ自動車は、一次調達先430社に4000品目の二次調達先以降のサプライチェーン調査を要請しました。災害時に供給が止まるリスクの高い品目から汎用品を採用したり、規格化して複数社からの調達に切り替えたりしてリスクを分散させています。多くの元請メーカーも、最短で復旧する強い現場をめざし、有事には多部門が連携して意思決定が出来るようになりました。しかし、それはあくまで企業内、系列内のサプライチェーン戦略であって、人材のダメージ、地域社会も含めた人材の復興、逆境力、心の回復力ではありません。これを「レジリエンス」といいます。以前、NHKの「クローズアップ現代」という番組でも放映していましたね。
リーマンショック時、瞬間風速で生産量の7割が消えた時がありましたが、図1でも分かるように雇用が大きく減少、しかし、アバンセを含むアウトソーシング業者は、労働者を県外や国外に移動させ、企業や地域社会(特に企業城下町)のダメージは少なく、社会的非難を浴びることもありませんでした。60歳以上の高齢者は、自宅待機で長期休暇がもらえ、年金の満額受給を喜んでいる人も多く、外国人労働者も一時帰休し、「また仕事が出たら呼んでくださいね。」と言われ、空港まで送り出したことを思い出します。私たちの派遣先では社員のみなさんの解雇も無く、再生も早かった。やはり複線型人事は大切で、雇用のダメージを分散させることで安心感を醸成することは、「レジリエンス(生活の質・心の健康)」の向上につながることを実感しました(図2)。
私たちは、野球のイチロー選手、サッカーの長友選手・本田選手のように精神的にはそれほど強くありません。逆境に折れることなく再起していく心、高レジリエンスは、複線型雇用で何があっても守られているという安心感なのです。
(執筆者:株式会社アバンセコーポレーション 林隆春)