第2回 『896の自治体が消滅?』日本の人口減少問題について

 

 民間研究機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元岩手県知事)が今年5月に発表した「消滅可能性都市896自治体」は、日本の自治体、企業等さまざまな方面に波紋を起こしました。
高齢化も大変ですが、全国約1,800市町村のうち出産世代の女性が激減することで、523市町村が25年後には1万人未満となって消滅する恐れがあり、日本は大都市だけ残る「極点社会」化する恐れがあるとしました(図1)。

 今後、東京などでは後期高齢者が激増、介護などの人員ニーズの急増が想定され、より一層地方から大都市に若い世代が流出する要因となります。地方の人口減は、一次産業・二次産業の人手不足やインフラ整備にも事欠くほどの空洞化が現れ、地域経済・社会にさまざまなひずみが出現、中長期的には地方の崩壊・消滅へ進むとして、厳しい未来が予想されます。

 人がいなくて市町村が消えていくという一方で、このような数字も出ています。就学援助受給者と受給率は年々増加、子どもの貧困率は年々上昇しています(図2)。未来を担う子どもたちを大切にしない国は、その世代が大人になったとき、国に感謝し、社会のために働こうとはしないといいます。ちなみに、現在の日本人青年の勤勉意識は決して高くはなく、人生の成功は運やコネが大切だと思っている人は、フィンランドの15.8%に対して日本は41%、20代にいたっては45%が人生の成功は勤勉ではなく運やコネだと答えています。
「貧富の格差が生じるとしても、自由な市場経済で市場全体が活性化することが多くの人々を幸せにする」という考えに賛成する日本人の割合は約5割で、先進国の中で圧倒的に低い。NCネットワーク会員のみなさん、もっともっと若者に活躍の場を与えていただけませんか。

(執筆者:株式会社アバンセコーポレーション 林隆春

 

 

 

 

新規会員登録