まず解明しなければならないのは、何が原因？でモギレ
が出るのか？っていう事ね。あくまで今やってることは
原因を探る事であって対策ではないのよ。もちろん、
理解していらっしゃると思うけど、スクリュー径交換
は対策であって、原因が特定できていない時点では、妄
想でしかないわ。まず原因を探る事よ。やっていくうち
に勘違いしてしまう場合が多いけど、あくまで対策は
原因が解明できた後よ。

工具顕微鏡の倍率は30倍程度かしら？30倍で確認して
離型に影響を与えるアンダーカット部分が確認できな
いとしたら、これは省いても良いかもしれないわね。
でも30倍で見たら、金型の表面ってすごい事になって
いなかった？
私は「すげ～キズだらけ！」って思うけど。

乾燥の方は、9時間程度であれば、熱履歴を考慮する
必要はなさそうね。

成形を理論的に考えられる方のようだけど
粘度・強度の低下＝モギレの理屈（イコールになる
推論）がわからないと、ちょっと難しいかもね。

監視用のPCまで用意しなくても、先ず、モニター監
視項目を増やして、最大値と最小値を見るだけでも
傾向はわかるはずよ。

スクリュー25パイで製品の要求事項を満たしている
のなら別に問題ないと思うわ。適正か不適正化の判
断は、製品がしてくれるわ。ただ確認事項として、次
回モギレが発生した時点で、コア温度が下がらないよ
うに工夫して、シリンダー内の滞留樹脂をきれいに排
出した状態で成形をしてみる価値はあるわね。

あと隣の機械では問題なく成形していますって言うの
は全く何の根拠にもならないわね。

なぜって？今回は隣の機械ではないから。

ごめんなさいね、ちょっと辛口になったかしら？あなた
は十分スキルが高いと思ったので。

釈迦に説法かもしれないけど、あらゆる可能性を拾い、
一つ、一つ潰していく・・・。プロセスは長くなるけど
得るものは大きいでしょ？

悩める女様ご返答有難う御座いました。
乾燥機は除湿式です。それで予備乾燥（140℃×4時間）後スタートしています。
ホッパー容量は44ℓです。
5時間後に不具合が生じるのでその原料は140℃×9時間の熱履歴を受けていることになりますね。
ということは、熱履歴大→分子量の低下→粘度・強度の低下というストーリーになると思いますが、これと『取られ』がなかなか結び付きません。
（シリンダーの中も熱履歴の受け過ぎですね）
重量を参考に条件出しを行なっていましたが、『飽和状態』などは意識していませんでした。確認します。
モニター値、波形ですが成形機画面でしか履歴を確認していませんでしたので監視用のPCを繋ぎまして次の試作時に確認します。
φ25のスクリュー太過ぎですかね？（熱履歴・モニター値、波形管理の観点で）
ちなみに、隣の成形機では同様設備でLCP（メーカー違い）で問題なく成形しています。スライドはありますが今回問題になっているものよりかなり小さいです。
金型表面のキズですが（工具顕微鏡レベルでは）付いていないです。

スクリュー径は直ぐには変更出来ませんが、その他の設備を改善し、またいろいろアドバイスして頂いたことを整理しまして次回試作を行ないます。

乾燥機は除湿タイプ？真空？熱風式のどれかしら？
また乾燥機の仕込み量及び成形機上のホッパーの
仕込み量は？総重量が３gだから、材料消費量は時
間当り1kｇ前後かしら。
成形スタート時は当然予備乾燥後スタートするのよ
ね。その後乾燥機に切り替えるのかしら？
例えば予備乾燥を熱風箱型乾燥機で行っているなん
て事はない？
乾燥方法によっては乾燥にバラツキが出る場合があ
り、それが可塑化不良や成形不良に繫がる事もあるわ。
逆に乾燥しすぎで悪影響が出る場合もあるのよ。
他には、成形機上のホッパーに送り込む量が適正か
どうか。

あと総重量3ｇでスクリュー径が２５パイでは、スク
リューが太すぎない？25パイだと最大計量50ｇ～60ｇ
前後になるはずよね。という事は、最大計量値の5％
前後が今回の製品の計量値って事になると思うけど
大丈夫？っていうか射出がコントロールできている
のかしら？油圧式だとしたら絶望よ。

適正条件て言うのが難しいんだけど、こういう小物
製品は、重量を目安に条件設定するといいわよ。
条件を下限から上限に変化させながら、その場で重量
を測っていくの。それをグラフにすると、グラフの
線は上昇しあるところから飽和状態になるわ。そこか
らさらに追い込むとまた線が上昇するのよ。この飽和
状態のところがベストよ。

本当に、モニター値、波形（どんな波形かわからないけど）
に変化はないの？今は、波形にほんの少し異常があると
異常出力信号を出してくれるソフトやハードもあるわね。
というか、どこからどこまでが異常値と捉えるかが問題
だけど。管理すべき項目の、実際最大値と最小値が全く
同じなら、変化がないと言えるけど、25パイのスクリュー
で3ｇの成形を行って、異常値を拾う方が難しいと思うけ
ど・・・。


以前は可塑化不良が出るとこの離型不良が出る傾向が
あったという事は、今まで書いてきたどれかが原因で
はないのかしら？あと、モギレが出た際の処理時に
目に見えない傷をつけた事はないのかしら。

金属と相性？がよく密着性が極度に高い材料は現実
存在するわよ。うちなんかほとんどこの手よ。離型
不良対策が無対策だと多発するわ。ただし今回のお話
は、先にも書いたけど、「客先では問題なかった」を
大前提にお話しているので、このお話は次回にね。

serena様、悩める女様ご返答有難う御座いました。
スライドの摺動ですが、取られが発生した時の状態は確認していませんでした。確認します。
一応スライド本体に細工しまして金型組立時にはスムーズに摺動することを確認しています。

現在は
プラテンに断熱板は付いています。
温調は水です。
材料乾燥・・・スタート時と5時間後でＤＳＣとカールフィッシャーで測定してみます。
製品（1ショット）重量は約3ｇです。
条件の設定方法は、まず各々の機械の仕様値を比較して比例的に設定しています。その後微調しています。
外乱は元受様から比べると環境は悪いです。しかし、我が社も二重シャッターで窓は無く空調はしています。今の時期昼と夜の室温差は約4℃です。
モニターの監視値は変化ありませんでした。
最近成形機メーカーと打合せしましてピーク圧より波形を重要視しています。
※以前は計量時間がバラツキ始めると取られの傾向がありました。しかし、最近はその傾向が見られずに取られが発生します。
型締力の調整は実施していませんでした。実施します。
初期型開
速度を極端に下げる・・・スライドが動き始めるポイントを極端に下げています。
スポット冷却・・・安定するかどうか・・・
以上状況を説明しました。
ささやかなコメントを頂ければそこから推測しますので宜しくお願いします。
すでに、何点か確認事項を頂き有難う御座います。
最後に、原料メーカーから「150℃以上で金属に接すると食いつきます」と言われたのですが、この様なことあるのでしょうか？

現場を見ていないので一方的に書かせて頂くわ。
ただし客先では正常に成形出来ていた事が前提ね。

金型またはプラテンには断熱版を取り付けている
わね？
油圧の場合、もらい熱で油温が上昇する事があるわ。
（今は断熱版は付いているはずだけど、サーボの場
合はもらい熱の影響が少ないので）

温調機の媒体は油？水？油の場合は、熱効率が悪く、
冷めにくいので、狙った温度が出難いわ。

でも時間と共に変化していくものは、温度だけでは
ないわよね。というか温度変化だけではないでしょ？
材料乾燥とか、なんとか・・・・。

製品重量が不明だけど、スクリュー径から見て、10g
前後の製品かしらね。わりと小物成形だから、重量
管理は1000分台で管理できるかもね。
条件の設定方法として、客先と同条件に持って行った
方向は何を基にやったのかしら？
異機種でスペックも違えば、条件は揃わないはずよね。
スクリュー径も違うし。充填タイムは目安にはなるけ
ど、条件設定の根拠にはならないわね。

まず成形条件が妥当か？妥当性を評価するには何を
狙えばいいのか？って言う事ね。
若干の（あくまで若干よ）外乱により著しい影響が出る
場合は、これが怪しいわ。

もしモニター値の監視が出来るのならば、スタート時の
ピーク圧、充填タイム、クッション量などや波形があれ
ば初期の波形と5時間後の波形に変化はあるのか？なん
かも原因解明に必要な要素ね。

後は、熱によって金型とかタイバーとかが伸びて、微妙
に型締力に変化が出て、ガスが逃げなくなり、ピーク圧
が上がり、部分的にオーバーパッキングになるとか色々
想像はできそうね。

根治対策としてではなく、対処療法としては、初期型開
速度を極端に下げる、スライドコア部分をスポット冷却
してみるとかありそうだけど、お奨めはしないわ。

ノウハウについては、制約があるから難しいわね。ただ
詳細がもっと判れば、ささやかなコメントが出来るかも
しれないわ。

> LCPで薄板製品の成形を最近受注しました。薄板製品にも関わらず金型スライド機構が必要な形状です。シリンダー設定温度360℃、金型温調器設定温度80～90℃で生産を実施していますが、スタート当初は良品が成形出来ているのですが約6時間後より金型スライドに製品の取られが多発してきます。お客様のお客様では、この金型、各温度条件で問題なく生産をしていました。
> 現象論だけで申し訳ありませんが、この不具合の原因或いは着眼点などをご教授頂けれはと思います。宜しくお願い致します。

アンダーカットになりえるものがないのに取られる？（変形する？）
スライドの摺動に問題はありませんでしたか？もともとシブいとか。

> LCPで薄板製品の成形を最近受注しました。薄板製品にも関わらず金型スライド機構が必要な形状です。シリンダー設定温度360℃、金型温調器設定温度80～90℃で生産を実施していますが、スタート当初は良品が成形出来ているのですが約6時間後より金型スライドに製品の取られが多発してきます。お客様のお客様では、この金型、各温度条件で問題なく生産をしていました。
> 現象論だけで申し訳ありませんが、この不具合の原因或いは着眼点などをご教授頂けれはと思います。宜しくお願い致します。

悩める女様ご返答有難う御座いました。
『その他の条件』ですがほぼ同じです。
しかし、成形機のスペック（メーカーも）が違いますので『ほぼ』がどこまで『ほぼ』かは疑問です。
ちなみにスクリュー径は元受様がφ22で我が社がφ25です。
充填時間、製品重量は100分台で一緒です。
金型温度は温調器90℃設定でスライド本体実測温度スタート時88℃から5時間後97℃まで上昇しています。
スライドコアにキズはありませんでした。
時間に関わる「何か」ですか？
金型温度の上昇は予測しまして温調器設定温度は80℃にしましたがダメでした。実測温度はそれなりに下がっています。
樹脂のシリンダー滞留による不具合では『5時間後』では遅すぎるような気がしますし・・・

元受メーカーさんと同じなのは金型設定温度と
シリンダー設定温度で、その他の条件もほぼ
同じなのかしら？また成形機のスペックも同様
なのかしら？トン数も不明なので。

まず同スペック（スクリュー径、射出能力、駆動
方式等）としたら、充填時間はほぼ一緒かしら？

製品重量も元受さんとほぼ同じ？100分台でね。
ただし製品の総重量にもよるけど。

金型の温度管理は、設定値管理？それとも実温管理
かしら。成形スタート時の金型温度、5時間後の温度
に差は生じているのかしら？

スライドコアにキズはない？コア温度が上がる事によ
り、そこへの食い付きが強くなり、離型不良が出るこ
ともあるわ。

ポイントは最初はいいけど、数時間後に悪くなるという
事で時間に関わる「何か」が悪さをしているようね。