役員たちは考えた、そもそも議題にするほどの事だったのか？？。
考案者は１００円を主張しているが、４００円でも６００円でも本質
は同じ、たいした違いは無い。
全体の報告を冷静に見ても商品を低価格で売り出す事に何のメリットも
無い。

技術開発には予算と人員をかけたが、成果は上がっている、この方式の
ライターを作る上の技術は出来た。特許もとる事が出来た。
かかった予算は新商品として適正な価格で販売すれば元はとれる。
業界の秩序も乱れないし、何よりも会社の利益になる。

まあーー考案者の意図とはだいぶ違うが新しい高級ライターとして
時期をみて売り出すのが最良の選択だろう。
不満は多少有るだろうが考案が実を結ぶのだから納得するだろう。
強く低価格販売を主張する役員がいないのは、考えが皆同じせいだろう。

さてどうしたものか？。予想が出来たからここに、考案者がいる訳
だがそろそろ採決していいが、だれから話が出るかなーーー。
しばらくの間、沈黙が続いた。

考案者も予想はしていたが、この沈黙で覚悟を決めた。後数分で
数年間の努力、全てが水泡に帰す事を。
結果を聞いたら、今までの対応に礼を述べて帰ろう、あの門を
通るのも今日が最後になる、守衛には、からかわれ続けたが
最後まで変わらなかったなあー。。

静まり返った中、社長が話を始めたーーー。