金属部品の製造において、鋳造と3Dプリントを組み合わせたハイブリッド造形技術が注目されています。
従来の鋳造技術は、大型部品や量産に適した製造方法ですが、形状の自由度や精度の面で制約がありました。
一方、金属3Dプリントは複雑形状の造形が可能ですが、造形サイズやコスト面に課題がありました。
この二つを融合することで、それぞれのメリットを活かした高性能な金属部品の製造が可能になります。
鋳造×3Dプリントのハイブリッド造形技術の特徴と、具体的な活用事例について詳しく解説します。

【鋳造×3Dプリントのハイブリッド造形技術とは】
鋳造と3Dプリントの組み合わせにより、従来の加工技術では実現できなかった新しい製造方法が可能になります。

1. 鋳造の利点を活用
・ 大型部品や量産向けの製造が可能
・ 金属材料の選択肢が豊富で、高強度な合金にも対応
・ コストパフォーマンスが高く、低コストでの大量生産が可能

2. 3Dプリントの利点を活用
・ 従来の鋳造技術では難しい複雑形状の製造が可能
・ 内部流路や軽量化設計（ラティス構造）を組み込める
・ 試作から小ロット生産まで柔軟に対応可能

3. ハイブリッド造形のメリット
・ 必要な部分のみ3Dプリントを適用し、コストと製造時間を削減
・ 機能性を持つ特殊形状（冷却流路や軽量構造）を鋳造部品に追加可能
・ 設計自由度が向上し、性能を最大化した部品が製造可能

【ハイブリッド造形技術の活用事例】
鋳造×3Dプリントのハイブリッド造形は、さまざまな産業で活用されています。

1. 航空宇宙分野：軽量構造部品の製造
・ 鋳造で大型のフレームを作り、強度が必要な部分のみ3Dプリントで補強
・ 軽量化と剛性向上を両立し、航空機の燃費向上に貢献

2. 自動車分野：EV用冷却部品の製造
・ アルミ鋳造のベース部分に、3Dプリントで冷却流路を追加
・ 効率的な放熱設計が可能になり、バッテリー寿命の向上に貢献

3. 産業機械分野：高耐久部品の最適化
・ 鋳造でベース部分を成形し、摩耗が激しい部分のみ高硬度材料で3Dプリント造形
・ 部品の寿命を延ばし、メンテナンスコストを削減

4. 医療分野：カスタム義肢の製造
・ 鋳造で基本フレームを作り、3Dプリントで個別調整が必要な部分を製造
・ 患者ごとのカスタム仕様が可能になり、装着感を向上

5. エネルギー分野：熱交換器の製造
・ 鋳造で基盤を成形し、3Dプリントで微細な熱交換構造を追加
・ 熱伝導効率を向上させ、エネルギー効率を最適化

【鋳造×3Dプリントのハイブリッド造形を成功させるポイント】
1. 材料の選定
・ 鋳造と3Dプリントの両方に適した材料を選択（例：アルミ合金、チタン合金など）
・ 異種金属を組み合わせる場合、接合強度や熱膨張係数を考慮

2. 設計の最適化
・ 鋳造で作る部分と3Dプリントを適用する部分を明確に分ける
・ トポロジー最適化を活用し、軽量化と強度確保を両立

3. 製造プロセスの統合
・ 鋳造後の後処理を最小限に抑えるため、3Dプリントとの接合を考慮した設計が重要
・ 精密な位置合わせ技術を活用し、3Dプリント部と鋳造部を確実に接合

4. コストと生産性のバランス
・ 3Dプリントのコストが高いため、必要最小限の部分に適用
・ 鋳造を活用し、全体のコストを抑える

【まとめ】
鋳造×3Dプリントのハイブリッド造形技術は、それぞれの長所を活かして、従来の製造方法では実現できなかった高性能な部品を生み出します。
航空宇宙、自動車、医療、エネルギー分野などで広く活用されており、軽量化・高強度・高機能な部品の製造が可能になります。
今後、この技術はさらなる進化を遂げ、より多くの分野で導入が進むと考えられます。

日本積層造形株式会社では、鋳造と3Dプリントを組み合わせたハイブリッド造形技術を提供しています。
試作から量産、特殊材料の造形まで対応し、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提案いたします。
金属3Dプリンターの導入や活用をご検討の企業様は、お気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ】
日本積層造形株式会社
〒985-0874 宮城県多賀城市八幡一本柳3-8
TEL：022-290-0625
FAX：022-290-0631
URL：https://www.jampt.jp