長尺の鉄板を鋭角に曲げる加工は、反りやねじれ、角度のばらつきが発生しやすく、精度を安定させるには高度な制御が必要です。ここでは、角度センサー付きベンダー機を用いて、長さ950mmの鉄板を高精度に曲げ加工した建設機械用の軸受ブラケットの事例を紹介します。リアルタイムで角度を制御し、歪みを最小限に抑えた加工方法を採用しています。

【製品概要】
・製品名：軸受ブラケット
・素材：鉄（スチール）
・板厚：6.0mm
・業界：建設機械
・加工方法：曲げ・ガスシールド溶接・塗装・表面処理加工・TIG溶接
・寸法：950×250×180mm

建設機械に使用される軸受ブラケットは、高い強度と寸法精度が求められる重要部品です。本製品では長尺の鉄板を鋭角に曲げた後、溶接で組み立て、塗装・表面処理を施しています。

【長尺品の鋭角曲げの課題】
長尺品の曲げ加工では、板全体にかかる応力が不均一になり、中央と端部で角度誤差が生じやすくなります。特に板厚6mmの鋼板は剛性が高いため、バネ戻りによる角度のズレが発生しやすいのが課題です。

・角度の均一化が難しい
・バネ戻りの補正が必要
・反りやねじれが発生しやすい

この問題を解決するため、角度センサー付きベンダー機を用いてリアルタイム制御を行いました。

【角度センサー付きベンダー機の特徴】
角度センサー付きベンダー機は、曲げ角度を自動で検出し、バネ戻りや材料差を補正します。これにより、長尺製品でも均一な角度で加工でき、狙い角度を正確に再現できます。

・リアルタイムで角度検知と補正
・バネ戻り量を自動制御
・全長で均一な曲げ精度を実現

この制御技術により、±0.3°以内の高精度な鋭角曲げが可能になりました。

【溶接工程と歪み対策】
曲げ加工後はロボット溶接で組み立てを行っています。長尺品は溶接熱で歪みや変形が発生しやすいため、溶接順序を最適化して熱の集中を防いでいます。

・溶接順序を工夫して変形を抑制
・ガスシールド溶接とTIG溶接を併用
・歪みと外観品質を両立

自動溶接を用いることで、安定した品質と外観の美しさを確保しています。

【表面処理と仕上げ】
溶接後のブラケットには塗装と表面処理を施し、耐食性と耐久性を高めています。屋外で使用される建設機械部品では、腐食防止と外観品質の両立が重要です。

・塗装前に脱脂・研磨で密着性を向上
・焼付塗装で耐久性を強化
・ムラのない美しい仕上げ

長尺部品でも塗装ムラが出ないよう、塗布角度や乾燥時間を調整しています。

【長尺曲げ加工への対応力】
角度センサー付きベンダー機は、従来職人の経験に頼っていた角度調整を自動制御化し、安定した品質を実現します。

・長尺・厚板の曲げ精度を安定化
・反りやねじれの発生を抑制
・試作から量産まで再現性の高い加工が可能

長尺品や鋭角曲げなど、従来難易度の高かった加工にも対応できる体制を整えています。

【まとめ】
今回の軸受ブラケットは、950mmの長尺鉄板を高精度に鋭角曲げした建設機械用部品です。角度センサー付きベンダー機によってリアルタイムで角度を制御し、歪みを抑えた高精度加工を実現しました。

この技術は、フレームや大型ブラケットなどの長尺・厚板製品にも応用でき、曲げ加工後の再加工や調整工数を削減します。精度・強度・外観を両立した曲げ加工を求める方は、ぜひご相談ください。

【お問い合わせ先】
株式会社岩本鉄工所
石川県小松市吉竹町タ33番地
TEL：0761-22-1486
FAX：0761-21-7701
URL：https://www.tk-iwa.jp/
溶接板金加工.com：https://yousetsubankinkakou.com/