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第4回:属人化を越えて ― 技術が“見える”ようになった現場の話
「◯◯さんがいなきゃできない作業」。
それが当たり前だった現場で、技術を“見える化”し、誰でも教えられる環境をつくった中小塗装工場の取り組みをご紹介します。
“伝える仕組み”さえあれば、職人技は組織で育てていける――そう実感させてくれる事例です。
📍事例概要(神奈川県・従業員15名の金属塗装工場)
ベテラン2名が定年を迎えることがきっかけだった。
「この人たちの技術が抜けたら、現場が止まる」という危機感から、会社全体で“教えられる現場づくり”が始まった。
① ベテランの技術をスマホで動画記録
目的:感覚的・口伝的だった技術を、後から見返せる形にする
実施内容:
- 吹き付け距離・角度・手の動きをスマホで撮影
- 「気温が25度を超えたら硬化剤を微調整」「塗り始める前の吸い込みチェック」などを解説しながら撮影
- 若手が横で質問し、リアルなQ&A形式に
ポイント:
- 完成動画だけでなく、失敗ややり直しも記録
- 動画はクラウドに保存し、いつでも見返せる教材に
② 若手に「説明役」をやらせてみる
目的:受け身だった新人を“教える側の視点”に立たせ、理解を深める
実施内容:
- 動画視聴後に「新人に教えるならどう説明する?」と課題を出す
- ロールプレイで発表し、ベテランが補足とアドバイス
効果:
- 自分の言葉で整理することで、技術の理解が加速
- 若手同士の教え合い文化が自然と生まれた
③ 「技術メモノート」で知識を共有
目的:日々の気づきやコツを“記録して残す”文化を根づかせる
実施内容:
- 工場内に自由に書き込めるノートを設置
- 「今日の気づき」「失敗と学び」などを記入
- 毎週3件をピックアップし、朝礼で共有
ポイント:
- 「書く」ことで曖昧な知識が整理される
- ベテランの失敗談も加わり、壁のない現場づくりに貢献
④ 「工程別チェックリスト」の導入
目的:作業の見える化とミスの防止
実施内容:
- 作業前・中・後の3ステップでチェックするリストを作成
- 「混合比率確認済み?」「湿度・温度の記録は?」など具体的な項目を記載
効果:
- 作業のルーティン化と品質の安定
- 新人も「何を見て判断すればいいか」が明確に
✔ 成果まとめ
- 「教えるのが苦手」という不安が消え、誰でも教えられる空気が生まれた
- 若手が“教えられる側”から“伝える側”へと意識が変わった
- 技術と感覚が“会社の資産”として形に残り、属人化から脱却
■ 結びに
この現場が特別なわけではありません。
必要だったのは、少しの記録、少しの共有、少しの意識づけだけ。
「教えることが苦手だから」と諦めず、伝える仕組みを現場に残す――
それが、塗装技術の未来を守る最初の一歩なのです。
\ 企業情報 /
永和工芸 株式会社
所在地:大阪府大阪市平野区喜連5-5-60
TEL:06-6709-2349 / FAX:06-6708-1445
HP:http://kinzokutoso.com/
アクセス:Google Mapで見る
会社名 |
永和工芸 株式会社 (えいわこうげい) |
エミダス会員番号 | 77303 |
---|---|---|---|
国 | 日本 | 住所 |
日本 大阪府 大阪市平野区 |
電話番号 | 06-6709-2349 | FAX番号 | 06-6708-1445 |
資本金 | 1,000 万円 | 年間売上高 | 11,000 万円 |
社員数 | 15人 | 担当者 | 松本 悦典 |
産業分類 | 産業用機械 / 建築土木資材 / 輸送機器 | ||
主要取引先 |
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