２００９年１１月２６日発行
日刊工業新聞に弊社の記事が掲載されました。

ご一読いただけると幸いです。

(以下、原文ママ)

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時代のニーズを読む
コアな技術へのあくなき追及

ダンボール加工用刃物に特化

近畿刃物工業は１９６０(昭和３５)年の創業以来、半世紀にわたって工業用刃物・部品を製造してきた。中でも家電製品から農作物、飲料・食品などさまざまな分野の物流に欠かせない紙器段ボール用刃物のメンテナンス(再研磨)やユーザーときめ細かく仕様を打ち合わせたオーダーメードの刃物造りを事業の中心とする。

ダンボール用刃物に特化した製造業者は、愛知県以西に２社とニッチな市場である。同社は顧客の要望にきめ細かく応じた製品を提供するほか、製品にナンバーを印字し、リピートオーダーに際して過去の注文内容をすぐに再現するとともにトレーサビリティを確保した上で改良を提案する仕組みを構築した。

同社のラインでは月１０００アイテムのオーダーが流れるが、製造を確認した後の作業着手が素早く、材料加工から検査完成出荷まで社内で一貫して行うので他の刃物メーカーに比べてもごく短い納期を可能にした。０７年五にレーザー加工機を導入以来、製造工程の省略可と加工時間の短縮、コストダウンをさらにすすめている。

現在の段ボール製造業界では品質向上と低価格の両立が望まれている。また、刃物に対しては切断面の質的向上や切りくず減少に対する要求が強い。そこで、“スカッ”と切れ、メンテナンス費用もかからない刃物の開発に着手。新たに段ボール用スロッター刃物の新製品、刃先が平ノコ刃形状の「サクット」とR形状の「スパット」を開発した。

刃先形状を改良し切れ味を向上した。加えて摩耗しにくい材質に変更して刃物寿命を伸ばした。刃物はユニット化することで損傷しやすい角部の交換を容易にした。切れ刃の共有化が可能で機械が変わっても刃物仕様の一元化ができ、コストダウンにつながる。

迅速な対応力

製品開発にあたっては「顧客へ素早く対応しながらニーズをより深く追及する。二つのバランスをとりつつ感動できる製品づくりを追求してゆきたい」と語り、対応力強化のため設備投資にも積極的に取り組む。前出のレーザー加工機のほか過去３年間でレーザーマーカーやCNCタテ型内面研削盤を導入し、来春さらに工作機械１台を追加することを検討している。

また、「新しいニーズへの対抗には、日々の社員教育が大切」として社員教育にも力を入れている。社員ひとり一人に半年ごとの目標を立てさせ自己評価勤務表を提出させる。その都度自分の座標を明確にする事で毎年の目標と成果について見える管理を行えるようにし、正当な評価を受けやすくした。

正社員の採用も積極的で社内にムードメーカーを育成すべく阿形社長自ら力を注いでいる。社員のモチベーション向上にも今年１１月には守口門真商工会議所会員大会で社員３人が「産業功労者表彰」を受賞した。

今後、同社では半世紀にわたり蓄積してきた技術を元に、段ボール用刃物の深耕を進める。環境意識の高まりから包装材料を発泡スチロール類からリサイクル性の高い段ボールへ代替する動きが活発化しており、要求される加工形状・速度が変化している。新しいニーズには新しい工作機械を導入して対応するとともにそれに伴う人材の育成にも力を入れる。そして、これらを通じて得たノウハウを生かし、他分野への進出も検討している。インターネット活用による顧客層の拡大にも取り組む。会社をどう進化させ、技術の継承をどう行うのか。同社の将来を見据えた展開が注目される。

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