工作機械
冶具
生産設備
近年、BCP対策や品質監査を名目とした現場調査や情報開示が増えています。発注側からすれば当然の要請ですが、受注側にとっては重大なリスクが隠れています。それは「技術流出」という構造的な不利です。お客様に選ばれるためには、誠実に応じつつも、守るべき情報を見極める仕組みが欠かせません。
【なぜ受注側は常に不利なのか?】
発注側は価格・数量・納期を交渉する立場にあります。一方で受注側は、品質や納期責任を負うだけでなく、監査の名目で金型設計や加工条件といったノウハウまで開示を迫られます。つまり、買い手はコストを抑えつつ、技術的な優位性まで学び取れる構造です。結果として、受注量が増えるほど情報が流出し、交渉力は低下する。この現実を直視する必要があります。
【BCP監査がもたらす情報の逆流とは?】
BCP監査では「他社拠点で同等加工が可能か」「材料調達ルートは複数あるか」といった質問が必ず出ます。これらを丁寧に回答すると、発注側は同等の条件をそのまま他社に横展開できてしまいます。本来はリスク分散のための監査が、結果的に自社の代替先を探すための材料になる。誠実に対応するほど自社の立場が弱くなる皮肉な構造です。
【品質監査で流出しやすい情報とは?】
監査項目には、圧力や温度といった加工条件、金型クリアランス、材料選定の理由、工程設計の根拠が含まれます。これらは競合が最も知りたい情報です。近年では監査チームに購買部門や他プロジェクトの技術担当が同席する例も見られ、事実上の技術偵察になっています。だからこそ「出せる情報」と「出せない情報」の線引きをあらかじめ設けておくことが不可欠です。
【守る仕組みと攻めの提案を両立するには?】
お客様の成果を守るためには、以下の工夫が役立ちます。
・NDA(秘密保持契約)の強化で開示範囲を制御
・技術情報を要素に分解し、すべてを見せない工夫
・工程設計やトレーサビリティなど比較しづらい付加価値を提案
こうした対策により、単純な価格比較に持ち込まれにくくなります。同時に、監査に対しては国内外すべての拠点で同一基準を整え、記録で裏付けることで信頼を確保できます。
【最後に:選ばれる会社であるために】
受注型ビジネスは宿命的に不利を抱えます。しかし「守る知恵」と「攻めの提案」を両立させることで、その構造的な不利を和らげることは可能です。オーティスは、加工条件や金型設計をすべて見せるのではなく、標準化と記録によって品質を保証しながら、競合流出を防ぐ仕組みを設計しています。まずは一度、情報線引きを前提とした監査対応についてご相談いただけませんか。
※記事下のEMIDASフォームからお問い合わせください。
【コラム監修】
角本 康司|オーティス株式会社 代表取締役。微細プレスや多層ラミネート等の量産立ち上げに長年携わり、年間100件超のご相談に現場と並走。工程内検査やトレーサビリティ設計、異物対策の標準化まで、設計〜量産の橋渡しを監修。最近は海外拠点の標準化と情報管理の仕組みづくりにも注力しています。
| 会社名 |
オーティス 株式会社 (おーてぃす) |
エミダス会員番号 | 69715 |
|---|---|---|---|
| 国 | 日本 | 住所 |
日本 岡山県 真庭市 |
| 電話番号 | 0867-42-3690 | FAX番号 | 0867-42-3694 |
| 資本金 | 3,000 万円 | 年間売上高 | 370,000 万円 |
| 社員数 | 400人 | 担当者 | 角本 康司 |
| 産業分類 | 通信機器 / 電子部品 / 医療機器 | ||
| 主要取引先 |
|
||
コンテンツについて
サービスについて
NCネットワークについて
