今回は、射出成形をする上で正確な形を出すのが難しい形状についてお話したいと思います。

弊社では、お客様から設計が完了した製品のデータを頂いた際、必要に応じて成形ができる、しやすい形状をご提案させて頂く場合があります。
その時、製品の肉厚部に対して肉盗み等をして、製品全体の肉厚を2～3mm程に揃えるご提案をする場合がございます。


射出成形では、製品の肉厚は2～3mm程度がよいとされています。
これより薄い形状も可能ですが、極端に厚い形状は様々な不具合の原因となってしまう可能性が高いため、肉厚に特別な設計意図がない場合はおすすめできません。

厚肉による不具合としてまず挙げられるのは、ヒケです。(写真1)
製品の形状によっても様々ですが、厚肉の場合や他と比べて肉が厚い箇所は、樹脂が収縮する際に厚さ方向の内側に力がかかるため外側が凹んでしまうことがあり、これをヒケと呼びます。(図1)
ヒケは成形条件によって緩和させることもできますが、その場合、他の不具合の原因になってしまったり、体積が多い分成形時間も長くなってしまいます。

また、樹脂の収縮は肉が厚ければ厚いほど大きくかかるので、厚肉の際は製品全体に歪みが生じる可能性もあります。

他にも、最大肉厚が2mm程でも、そこから肉厚が急変してしまうと、肉厚の境目に薄っすらと筋が入ってしまうこともあります。(写真2)


これらの不具合を防ぐため、弊社ではいくつかの方法をご提案しております。
1つは、以前にもご紹介しました成形での工夫。(https://ja.nc-net.or.jp/company/53950/product/detail/212289/)

もう1つは、冒頭でも触れた設計段階での工夫です。
製品の使用上問題無い場合に限り、肉盗みをして2～3mmの平均的な肉厚を保ちます。
ただ肉を盗むだけでは、強度が著しく低下してしまうので、格子状に肉を残す等して、
強度と外観 両方を実現する工夫をいたします。


【まとめ】
　・射出成形品の肉が極端に厚い場合ヒケや歪み等、外観や製品の機能に影響を及ぼす
　　⇒設計、もしくは成形での工夫が必要!


弊社では、このような品物に対して、設計・成形 両方からのアプローチが可能です。
製品の設計が完了していても、そうでなくても、まずはお気軽にご相談ください。


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※不具合が発生する肉の厚さは、製品の形状に左右される場合があります。