クリーンルームを利用する産業では、洗浄や乾燥を経た後の「最終工程」で品質を守り切れるかどうかが大きな課題となります。半導体や医薬品、精密機器、宇宙関連の分野では、わずかな毛髪や繊維片、微細な異物でも重大なトラブルにつながります。そこで重要になるのが「毛髪・異物検査」です。ここでは、なぜ検査工程が必要なのか、どのような仕組みで行われているのかを解説します。

【毛髪・異物の混入がもたらすリスク】
毛髪や異物は、外観検査だけでは気付きにくい場合があります。しかし製品の品質や性能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
・半導体業界：毛髪や繊維片が微細加工ラインに入り込み、回路不良や歩留まり低下を引き起こす
・医薬品業界：異物混入が安全性を損ない、リコールやブランド信頼性の低下につながる
・精密機器業界：光学部品やセンサーに異物が付着し、測定精度や信頼性を損なう
・宇宙産業：異物混入が探査機や人工衛星の機能障害の原因となる

このように、毛髪や異物は小さなものでも大きなリスクを抱えています。

【検査工程の役割】
洗浄や乾燥を終えた段階でも、製品には毛髪や微細な異物が残っている可能性があります。そのため最終工程として「検査」を実施します。当社では目視による確認に加え、照明や拡大鏡を使用して異物をチェックする方法も取り入れられています。クラス100クリーンルームの環境下で実施することで、検査中の再汚染リスクを最小化できます。当社ではお預かりした製品をお返しするまでの間に３回の検査工程を品質向上に努めております。

【検査対象となる製品】
検査の対象は幅広く、無塵衣やクリーンスーツ、グローブ、クリーンシューズ、ワイピングクロス、キャリアケースなどが含まれます。特に繊維製品は毛髪や繊維片が付着しやすいため、念入りな検査が必要です。また、キャリアケースやシューズなどの樹脂・ゴム製品も、細かな傷や凹凸に異物が入り込むため注意が求められます。

【再汚染防止との連携】
毛髪・異物検査は単独で行うのではなく、洗浄や乾燥の仕組みと連携して効果を発揮します。バリア型洗濯機による一方向の流れや、HEPAフィルタを備えた乾燥機による仕上げと組み合わせることで、検査対象となる異物そのものを減らすことができます。最終段階での検査は「異物残留リスクをゼロに近づける」役割を担っています。

【真空包装による品質保持】
真空包装は外気の混入が無いかのインジケーター的役割をしております。輸送や保管中に外気に触れず新たな異物が付着するのを防ぎ、現場で開封するまで清浄度を維持できます。半導体や医薬品業界では「開封したその瞬間から安心して使用できる」ことが求められ、真空包装と毛髪・異物検査の組み合わせが信頼性を高めています。

【データ管理とトレーサビリティ】
検査工程でもデータ管理が重視されます。製品ごとの個体検査記録をバーコードで管理し、洗浄・乾燥工程とあわせてトレーサブルに記録しクラウド上で保管することで、監査や顧客からの問い合わせに速やかに対応できます。異常が発見された場合でも、どの工程で発生したかを迅速に特定できる体制を整えています。

【導入メリット】
毛髪・異物検査を徹底することで、次のようなメリットがあります。
・最終工程で異物混入を防止できる 。
・目視や機器を組み合わせて異物を検出できる。
・真空包装と組み合わせて出荷後も品質を維持できる 。
・バーコード管理により洗浄工程と検査履歴を明確にできる 。
・顧客や監査機関への対応をスムーズにできる。

【まとめ】
クリーンルーム環境を維持するには、洗浄や乾燥だけでなく最終工程での「毛髪・異物検査」が欠かせません。クラス100クリーンルーム環境で実施する検査は、異物リスクを最小限に抑え、信頼性の高い製品提供を可能にします。真空包装やデータ管理と組み合わせることで、顧客に安心を届ける仕組みが完成します。品質維持に課題を感じている担当者にとって、この検査工程は有効な解決策となります。

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テクノクリーン株式会社
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