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製造業や機械加工の分野で頻繁に耳にする「マシニングセンタ」と「NC旋盤」。どちらも金属部品を高精度に削り出す工作機械ですが、その構造や得意とする加工形状は大きく異なります。現場ではこの違いを理解し、適切に使い分けることで、品質・納期・コストの最適化が可能になります。この記事では、両者の仕組みや加工特性を専門的な視点で詳しく解説し、後半では日野精機の設備体制と取り組みを紹介します。
【マシニングセンタの構造と特徴】
マシニングセンタ(MC:Machining Center)は、切削工具を高速回転させ、X・Y・Zの三軸方向に動かして金属を削る工作機械です。主軸にさまざまな工具を装着し、自動で交換できるATC(自動工具交換装置)を備えています。穴あけ、フライス加工、ねじ切り、面取りなど複数の加工工程を1台で連続的に行うことが可能です。
マシニングセンタは大きく「縦型」と「横型」に分類されます。縦型マシニングセンタは工具が上方向からワークに当たる構造で、小物部品や平面加工に向いています。一方、横型マシニングセンタは工具が水平方向に進入するため、切りくずが重力で自然に排出されやすく、深穴加工や重量物の高精度加工に適しています。生産効率と精度の両立を求める現場では、横型を採用するケースが増えています。
マシニングセンタの特徴を整理すると、以下のようになります。
・立体形状や複雑な面加工に対応できる
・工具交換が自動化されており、多工程の連続加工が可能
・固定したワークをさまざまな角度から加工できる
・横型は剛性が高く、重量物や長時間加工に適する
加工精度を安定させるには、機械剛性に加えて温度管理も欠かせません。金属は温度変化によって膨張・収縮するため、加工環境の温度を一定に保つことが重要です。特に高精度部品の加工では、恒温環境下での運転が効果を発揮します。
【NC旋盤の構造と特徴】
NC旋盤(Numerical Control Lathe)は、素材(ワーク)を回転させ、固定したバイト(切削工具)を当てて削る方式の工作機械です。主に円筒形状やテーパー形状など、回転対称の部品加工に用いられます。数値制御(NC)によって刃物台や送り速度を正確に制御でき、同一形状の部品を高い再現性で量産できるのが特長です。
NC旋盤の得意分野は以下の通りです。
・シャフトやフランジなどの円筒形状部品の外径加工
・内径、ねじ、テーパー形状など軸対称部品の精密仕上げ
・高い真円度や同軸度が求められる精密部品の加工
旋盤加工では、素材の回転速度(主軸回転数)と送り速度のバランスが重要です。適切な条件を設定することで、切削抵抗を安定させ、バリや焼き付きの発生を抑えられます。また、チャックの締め付け力や固定剛性が不十分だと、加工中の振動によって寸法精度が乱れるため、治具設計と固定方法も大切な要素です。
【マシニングセンタとNC旋盤の使い分け】
両者の最大の違いは、「回転するのが工具か素材か」という点です。マシニングセンタは工具が回転してワークを削り、NC旋盤はワークが回転して工具が当たります。この構造の違いにより、得意とする加工形状や生産性に差が生じます。
・マシニングセンタ:立体形状、穴、段差、角部の加工が得意
・NC旋盤:外径や内径など、軸対称形状の加工が得意
【加工精度と温度管理】
精密加工では、ミクロン単位の誤差が製品品質を左右します。そのため、加工環境の温度変化を最小限に抑えることが重要です。加工中に発生する熱は、工具・ワーク・機械本体の寸法変化を引き起こす要因になります。恒温環境での加工は、こうした誤差を抑制し、安定した精度を実現する手段の一つです。
また、剛性の高い横型マシニングセンタや精密チャックを用いたNC旋盤は、加工時の変形を抑える効果があります。機械の構造設計、治具の固定力、切削条件の最適化が揃ってはじめて、安定した寸法精度が得られます。
【日野精機の加工体制】
日野精機では、横型マシニングセンタ36台、縦型マシニングセンタ12台、NC旋盤24台を保有し、部品形状や数量に応じた最適な加工体制を構築しています。横型マシニングセンタは剛性と精度を重視し、重量物や複雑形状部品に対応。縦型は小型部品や試作加工に柔軟に対応可能です。NC旋盤では、アクスルフランジ・プーリーなどの円筒形状部品を高精度で仕上げています。
また、CAD/CAMによる加工プログラム作成、自社治具設計・製作、恒温環境下での検査体制を組み合わせ、加工から品質保証までを自社内で完結。多品種少量から量産まで、要求精度に応じた生産を行っています。
これらの設備と技術により、寸法安定性や再現性が求められる部品でも、品質を維持しながら安定した供給を実現しています。
【まとめ】
マシニングセンタとNC旋盤は、どちらも精密加工に欠かせない工作機械ですが、加工対象や生産目的によって最適な使い方が異なります。両者の構造と特性を理解し、部品形状やロット数量に応じて最適化することが、安定した品質と効率的な生産への第一歩です。
日野精機では、豊富な設備と恒温環境による精度管理体制を整え、設計から加工、検査までを一貫して対応しています。確実な寸法精度と短納期対応が求められる部品加工のご相談にも柔軟に対応しています。
【お問い合わせ先】
日野精機株式会社
本社工場:東京都日野市日野台1-17-3
新田工場:群馬県太田市新田下田中町836-1
TEL:042-582-1861
FAX:042-584-1655
URL:https://hinoseiki.co.jp
| 会社名 |
日野精機 株式会社 (ひのせいき) |
エミダス会員番号 | 102576 |
|---|---|---|---|
| 国 | 日本 | 住所 |
日本 東京都 日野市 |
| 電話番号 | 042-582-1862 | FAX番号 | 042-584-1655 |
| 資本金 | 5,300 万円 | 年間売上高 | |
| 社員数 | 126人 | 担当者 | 池田 智信 |
| 産業分類 | 重電関係 / 産業用機械 / 輸送機器 | ||
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