特集:「食」のものづくり
専務取締役 プラント生産統轄本部長 中 俊明氏
創業は1931年。清酒メーカー向けに蒸した酒米を広げる際に使う麻布や付帯設備を製造・販売したことに始まる。
「大きな転機となったのは、1959年に社運をかけて挑んだ兼用型びん詰め機の開発だ。その後、不断の努力でその技術を極め、ボトリングシステムのトップメーカーへと成長した。現在では、パッケージングプラント事業とメカトロシステム事業を二本柱とした幅広い製品づくりを行っている。
今でこそ、国内外の大手飲料メーカーに採用される同社のボトリングシステムだが、開発を開始した当時は、国内大手メーカーの独壇場で、後発の中小企業が入り込む余地はなかった。
しかし、1つのびん台に2本の一升びんを乗せて充填する複列フィラーのラインや、大手企業と比較しても遜色ないびん洗機のテスト結果を達成するなど、技術力を武器に1980年、ついに国内トップメーカーに躍り出た。
その後1996年にはペットボトルのリサイクルのシステムが確立したことで、500ml以下の小型サイズの流通が解禁され、それに伴い同社のボトリングシステムは急速にシェアを伸ばした。現在では、海外でも確たる地位を築いている。
ウイスキー用ボトリングシステム
現在では、1分あたりの充填本数が1,200本に達する同社のボトリングシステムは、あらゆる種類の液体を充填できる。また、洋酒のようにボトル形状が特徴的なものでも、柔軟に対応が可能だ。
そして、食品に関連する機械メーカーにとって、異物混入はやはり最も心配することだろう。同社は、ペットボトルに対する無菌充填システムで、圧倒的なシェアを獲得している。
例えば、衛生を担保するために薬剤を使うが、それが残留しても問題になる。そこで、薬剤を使わず電子線(Electron Beam)を使って滅菌するシステムを開発した。このEB滅菌方式による無菌充填システムは、世界に先駆けた技術だ。
こうした技術力やボトリングシステムに搭載する新機能のために開発した技術が転用され、さらなる事業の柱となり、半導体製造装置、切断加工機、ウォータ・レーザ複合加工システム、またiPS細胞などの培養を行う再生医療の機械装置メーカーへと発展している。
調味料用ボトリングシステム
創業からわずか50年でトップメーカーに躍進した同社を支えるのは、その社風にあるだろう。創業以来、風通しがよく、誰でも意見が言える雰囲気だというが、それでいてチーム結束力も高い。こうした社風は、的確な経営判断により時代の潮流に乗ることによって、大きな開発を進める中で培われてきた。
「したいことをやれという雰囲気はある。でも、そう言われても、したいことは簡単にはできない。だからこそ、1つのテーマを決めて、こつこつと進んでいくことが大切」と、同社の中専務は語る。専務主催のダントツ製品の会議には若手社員も入り、一緒にディスカッションしていく。そして、新しい知識、長年の技術を織り交ぜた未来が見えてくる。アットホームな社風ではあるが、社員1人ひとりには、トップメーカーとしての誇りと自覚がある。この融合が同社の強さの源泉なのだろう。
設立 |
1949年 |
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所在地 |
〒〒920-8681 石川県金沢市大豆田本町甲58 |
TEL |
076-262-1201 |
FAX |
076-223-1914 |
URL |
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事業内容 |
パッケージングプラント事業、再生医療システム事業、メカトロシステム事業 |
売上高 |
836億円【連結】(平成28年6月期) |