自動車電装品
今回は不具合事例シリーズ第二弾として、前回ご紹介した『脱亜鉛現象によるカーボンブラシのホルダー内固着』とは、別の原因によるホルダー内固着として『残留膨張によるホルダー内固着』をご紹介致します。
前回もご説明致しましたが、カーボンブラシはホルダーといわれる箱の内に収められており、スプリングで押し出され整流子と接触し、通電する仕組みになっています。
カーボンブラシがホルダー内でスムーズに動くことができなくなると、通電不良が発生し、モータ不作動になる事があります。
カーボンブラシが熱により膨張してしまう事で、ホルダーとの隙間(クリアランス)が小さくなり、動きが悪くなったり、隙間がなくなり固着するケースを詳しくご説明したいと思います。
物質は熱が上がると膨張し、その熱が下がると元の寸法に戻る性質がありますが、それは線膨張(線膨張係数)と呼ばれる物で、カーボンブラシの固着にかかわる膨張は、この線膨張とは別に「残留膨張」という膨張が影響をしています。
「残留膨張」という言葉は聞きなれないと思いますので、まずはその説明をしたいと思います。
先ほども示しましたが、線膨張は熱が下がると寸法が元に戻るのですが、残留膨張は熱が下がっても、膨張した寸法を維持してしまう膨張の事を言います。
なぜそのような現象が発生するかと言いますと...
①カーボンブラシ中に含まれる銅が酸化する事での寸法変化
②成型圧力による残留応力歪みの戻りによる寸法変化
このような理由から残留膨張が発生しますので、カーボンブラシの材質の中でも銅を含む材質に関しては注意が必要となります。
その対策としてモータ設計側ではホルダーとカーボンブラシのクリアランスの設定が重要となります。但し、クリアランスが大きくなり過ぎるとホルダー内でカーボンブラシが動き易くなり、摺動性能が悪化し、寿命低下に繋がります。また、衝突音などが発生し、騒音問題に繋がり、固着以外の問題の原因になります。
カーボンブラシ材質としては、酸化による寸法変化が起こり辛い配合設計が重要となります。
弊社では、環境試験を行い、残留膨張を確認し、それを抑制する材質の開発を行っています。
(どの様に抑制しているかはノウハウとなりますので、ご理解くださいw)
モータの使用環境による発熱や通電による発熱など、発熱状況に合わせて各種材質を揃えていますので、熱による膨張・固着でお困りの際はお問合せください。
目には見えないところで、私たちの生活を支えているカーボンブラシ。
今回は『残留膨張によるホルダー内固着』についてお届けしました!
ぜひ次回もお楽しみに!
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株式会社 富士カーボン製造所
https://www.fuji-carbon.co.jp/
〒446-0035 愛知県安城市錦町1-11
TEL :0566-77-0077(営業部)
カーボンブラシの製造に関するお問い合わせ、技術相談など、お気軽に!
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会社名 |
株式会社 富士カーボン製造所 (ふじかーぼんせいぞうしょ) |
エミダス会員番号 | 95640 |
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国 | 日本 | 住所 |
日本 愛知県 安城市 |
電話番号 | ログインをすると表示されます | FAX番号 | ログインをすると表示されます |
資本金 | 7,680 万円 | 年間売上高 | |
社員数 | 192人 | 担当者 | 浅井俊行 |
産業分類 | 産業用機械 / 家電 / 電子部品 |
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