CLINプロセス（Controlled Liquid Ionic Nitriding）は、鉄合金に対して窒化および酸化処理を施すことで、耐摩耗性、耐疲労性、耐食性を飛躍的に向上させる熱化学処理技術です。HEFグループが特許を取得し、商品化しているARCOR®、TENIFER®、QPQ®などの処理法は、このCLINプロセスの一部です。
本プロセスは、500°C～630°Cの温度で溶融塩を用いて窒素や炭素を金属表面に浸透させる塩浴軟窒化処理に加え、不動態化処理や有機防錆液の含浸処理を行うことで、優れた性能を実現します。また、シアン化物を使用しないため、REACH規制に適合しており、環境負荷が小さい点が特長です。

■ 特長
耐摩耗性の向上: 表面に形成される化合物層が高い硬度を提供。
耐疲労性の向上: 表面の硬度勾配と圧縮応力勾配による効果。
優れた耐食性: 酸化物Fe₃O₄の生成により、塩水噴霧試験で400～700時間の耐性を実現。
環境対応: シアン化物不使用でREACH規制に適合。
多様な適用性: 鋼、鋳鉄、ステンレス鋼など幅広い材料に対応。

■ 能力
化合物層: 厚みは約0～30µm、硬さは最大760HV。
拡散層: 深さは数十ミリメートルに達する場合があり、長期的な性能向上を実現。
塩水噴霧試験: シンプルな部品で700時間以上、複雑な部品で400時間の耐食性。
研磨対応: ポリマーやエラストマーとの摩擦特性に合わせた表面粗さ調整が可能。

■ 導入事例
CLINプロセスは、自動車、機械部品、航空宇宙、精密機器など幅広い分野で採用されています。特に、摩耗や腐食にさらされる部品の耐久性を飛躍的に向上させるため、ギア、シャフト、スプリングなどの処理に用いられています。

CLINプロセスは、耐摩耗性・耐疲労性・耐食性の向上を通じて、製品寿命を延ばし、メンテナンスコスト削減にも貢献します。

■ 詳細はお気軽にお問合せください。