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アルミ製品の性能を左右する「調質」を基礎からわかりやすく解説!
=== 調質の基本を理解しよう ===
アルミニウム合金を使用する際、「調質」という言葉を耳にしたことはありませんか? 調質とは、熱処理や冷却、圧力を加えるなどの処理により、材料の硬さ、強度、柔軟性、耐久性などの特性を目的に応じて調整する技術です。
アルミニウム合金は大きく2つに分類されます:
◆ 熱処理合金:熱処理により強度が向上する合金
◆ 非熱処理合金:冷間加工(圧延・引抜・鍛造・プレスなど)で強度が向上する合金
これらの処理方法や加工の程度によって、さまざまな機械的性質を持つ材料へと調質が可能です。
この違いを明確に区別するために「質別記号」が使用されています。
=== 調質の基本記号を覚えよう ===
調質の基本となる5つの記号をご紹介します:
◆ F … 製造のままのもの
特別な熱処理を行わない状態
◆ O … 焼きなましたもの
最も軟らかく、加工性に優れる
◆ H … 加工硬化したもの
冷間加工により強度を向上
◆ W … 溶体化処理(焼き入れ)したもの
不安定な状態、通常は中間工程
◆ T … 熱処理によってF,O,H以外の安定な質別にしたもの
最も多様な種類を持つ
=== 「H」記号の詳細分類 ===
H記号は加工硬化に関する記号で、さらに細かく分類されています:
◆ H1 … 加工硬化のみを施したもの
◆ H2 … 加工硬化後に軟化熱処理を行ったもの
◆ H3 … 加工硬化後に安定化熱処理を行ったもの
◆ H4 … 加工硬化後に塗装処理を行ったもの
それぞれの処理により、強度と加工性のバランスが調整されます。
=== 「T」記号の詳細分類 ===
T記号は熱処理による調質を示し、T1からT10まで10種類の細分類があります:
--- 自然時効系(常温で時間をかけて硬化)---
◆ T1 … 高温加工から冷却後、自然時効させたもの
◆ T2 … 高温加工から冷却後、冷間加工を行い、さらに自然時効させたもの
◆ T3 … 溶体化処理後、冷間加工を行い、さらに自然時効させたもの
◆ T4 … 溶体化処理後、自然時効させたもの
--- 人工時効系(加熱により短時間で硬化)---
◆ T5 … 高温加工から冷却後、人工時効硬化処理したもの
◆ T6 … 溶体化処理後、人工時効硬化処理したもの
◆ T7 … 溶体化処理後、安定化処理したもの
◆ T8 … 溶体化処理後、冷間加工を行い、さらに人工時効硬化処理したもの
◆ T9 … 溶体化処理後、人工時効硬化処理を行い、さらに冷間加工したもの
◆ T10 … 高温加工から冷却後、冷間加工を行い、さらに人工時効硬化処理したもの
=== 代表的なアルミ材料と調質の実例 ===
--- アルミ鋳物(AC材)の調質 ---
金型鋳造(重力鋳造)で製造されるAC材では、主に以下の調質が適用されます:
◆ F材(鋳造のまま)
・鋳造後、特別な熱処理を行わない状態
・コストが安く、一般的な用途に適用
◆ T4材(溶体化処理後自然時効)
・強度と延性のバランスが良い
・機械加工性に優れる
◆ T5材(人工時効硬化処理)
・鋳造後直接人工時効を行う
・比較的短時間で強度向上が可能
◆ T6材(溶体化処理後人工時効硬化処理)
・最も高い強度を得られる
・自動車部品など高強度が要求される用途に使用
--- 展伸材(板材・棒材・押出材)の調質 ---
展伸材は圧延や押出などで製造される材料です。
代表的な材料の調質例をご紹介します:
◆ A6061材(中強度、汎用性あり)
・T4材 → 機械加工性に優れる、溶接後の強度回復が良好
・T6材 → 高い強度を有する、構造部材に適している
・T651材 → 残留応力が少ない、精密加工に適している
◆ A5052材(耐食性良好、非熱処理合金)
・O材 → 最も軟らかく、深絞り加工に適している
・H系材 → 加工硬化により強度を向上
◆ A2017材(ジュラルミン、高強度)
・T4材 → 機械加工性と強度のバランスが良好
◆ A7075材(超ジュラルミン、超高強度)
・T6材 → 最高レベルの強度を持つ
=== 実用的な調質材の選び方 ===
用途に応じた調質材の選択例:
◆ 加工性重視の場合 → O材、T4材
◆ 強度重視の場合 → T6材、H系材
◆ 溶接性重視の場合 → T4材、一部のT5材
◆ コスト重視の場合 → F材、O材
=== まとめ ===
アルミニウム合金の調質記号は、材料の製造工程と最終的な特性を示す重要な情報です。 用途に応じて適切な調質材を選択することで、製品の性能を最大限に引き出すことができます。
特にアルミ鋳造(AC材)においては、重力鋳造による高精度な製品製造と調質の組み合わせ、さらには精密切削加工により、様々な用途に対応した製品を提供することが可能です。
設計や材料選定の際は、これらの記号の意味を理解し、要求される特性に最適な調質材を選択することが重要です。材料に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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担当課:営業課
TEL:0267-53-6270
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| 会社名 |
吉田工業 株式会社 (よしだこうぎょう かぶしきかいしゃ) |
エミダス会員番号 | 89431 |
|---|---|---|---|
| 国 | 日本 | 住所 |
日本 長野県 佐久市 |
| 電話番号 | 0267-53-2151 | FAX番号 | 0267-53-5828 |
| 資本金 | 5,600 万円 | 年間売上高 | 440,000 万円 |
| 社員数 | 254人 | 担当者 | 黒澤 文雄 |
| 産業分類 | 重電関係 / 産業用機械 / 輸送機器 | ||
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