「重量鳶」という聞きなれない職業がある。大きな建造物や大型機械などを高い所に設置したり、工場やビルなどに運び込んだりする職人の総称だ。
今年度の川口市産業技術・技能者顕彰制度「川口技あり賞」に選ばれたのが戸塚重量の重量鳶、金子貴史さん(35)。1995年から続くものづくりの賞に、モノを作らない職人が選ばれるのは異例だ。
金子さんは「勉強が嫌いで、父の手伝いとしてこの世界に入った」と謙遜するが、そこは頭をフル回転させて工夫、研究を積み重ねる世界だった。毎夜、「もっといい方法がないか」「どこかにヒントはないか」と考える。「形が残る仕事ではないが、思い通りに運び込めた時がうれしいですね」と話す。