＜前処理とは＞
ほとんどの鉄鋼製機械部品は、圧延、鍛造、引き抜き、鋳造のままでは結晶粒が不均一で成分も偏重しており、機械的性質も低くバラツキが大きい。
そこで、表面処理の有無に関わらず、再加熱により組織を揃え、硬さを目的にあった強度にするために前処理を施します。
このことを表面処理部品では「前熱処理」と呼んでいます。

＜炭素鋼に多い焼きならし＞
高周波焼入れに多用されるＳ４５Ｃ等の構造用炭素鋼の前熱処理の多くは「焼きならし」と呼ばれ、オーステナイト領域に加熱・保持した部品を炉外で放冷します。
組織はパーライト、硬さはHV200～230程度です。
しかし、炭素量、ワーク質量、肉厚によって、同様の前処理をしても、出来栄えが違ったり焼入れ性に影響することがあります。
炭素鋼で調質をする場合もありますが、焼入れ性が低い細物や薄物には調質効果が効かないため、一般的にはほとんど調質をおこないません。

＜合金鋼に多い調質＞
ズブ加熱焼入れと高温焼き戻しによる調質は、炭素鋼の焼きならしよりも硬さ（強度）が必要な構造用合金鋼（クロムモリブデン鋼・クロム鋼・マンガン鋼等）部品に施されます。
調質の後は高周波焼入れすることがが一般的です。



・冷却剤について 焼き入れ　高周波.
https://ja.nc-net.or.jp/company/88995/product/detail/109086

・合金鋼　SCｒ材、SCM材、SNCM材、SMnC材、SMn材、H鋼材って？
https://www.nc-net.or.jp/company/88995/product/detail/126400

・硬さ　S45C　SCM435　鋼材について.
https://www.nc-net.or.jp/company/88995/product/detail/93530

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